近時の人事労務に関する重要判例解説
- 開催日時:
- 2016年10月22日
- セミナー分類:
- 企業法務
- 主催:
- 千葉県社会保険労務士会東葛支部
- 講師:
- 三井 伸容 三井 伸容のプロフィール
千葉県社会保険労務士会の先生方
近時の人事労務に関する重要判例解説
本セミナーに関連する質問と回答
- Q 労働者に不利益がある条件変更の場合に、書面で同意を取るだけではだめですか?
- A 事案によりますが、書面の取得だけでは足りないことがあります。
不利益に変更される労働条件によっては、労働者の同意が形式的に存在するだけでは足りません。
「その同意が任意(自由意思)によるものであることの合理的理由が客観的に存在すること」が必要で非常に難解な言葉づかいではありますが「合理的理由」「客観的に存在」という言葉が重要です。要するに、第三者が客観的に当時の状況をみたときに「労働者が自分の意思で同意をしたのだ」と納得できる根拠が求められているということです。
背景には、会社と労働者では、会社側の立場が強く、労働者は同意を拒否がしづらいという考えがあります。 - Q 労働者に不利益がある条件変更について、どのようなケースが問題になりやすいですか?
- A 問題になりやすいのは次のような事案です。
- ①賃金や退職金の放棄
- ②賃金や退職金を他の債権と相殺する合意
- ③残業代請求権の放棄
- ④妊娠・出産・育児休業の取得を契機とした降格処分の同意
- Q 労働者に不利益がある条件変更について、具体的にどう対応すればよいですか?
- A 合理的理由が「客観的」に存在しなければなりません。したがって、労働者にもたらされる不利益の内容、程度、同意がなされた経緯とその証拠化が重要です。
例えば、次のような内容を証拠化しておきましょう。- ①条件変更に関して丁寧な説明がなされたこと
- ②一見不利益にみえても実は労働者に同意するメリットがあること
- ③労働者が自由意思で同意するのも自然といえる経緯があること