保険代理店向けに、弁護士からみた初動対応をテーマにして、お客様から急な連絡がきたときにどう対応すべきかを解説しました。
内容は次のとおりです。
1. 交通事故被害者の正しい初動対応
- (1) 事故直後にすべきこと
- (2) 過失割合の交渉方法
- (3) 治療費打ち切りの注意点
- (4) 弁護士に相談するべきかどうか
2. 交通事故加害者の正しい初動対応
3. 相続問題の正しい初動対応
セミナーを開催した背景と目的
保険代理店が普段お客様から質問されそうな事項を中心に、交通事故や相続の問題が発生したときの初動対応を解説しました。
セミナーの内容
1. 交通事故被害者の正しい初動対応
交通事故の被害者から質問を受けやすい事故直後の対応、過失割合、治療費打ち切りへの対抗策を解説しました。
(1) 事故直後にすべきこと
事故直後にすべきこととして、次のような内容を解説しました。
① 加害者や目撃者の確保
② 警察への通報
③ 加害者の連絡先を確認 (免許証、車両ナンバー)
④ 加害者が加入している自賠責保険会社と任意保険会社を確認
⑤ 加害者と事故態様を確認(録音や警察への報告)
⑥ 自分が加入している保険会社に連絡
⑦ 事故当日に病院に通院(遅くとも3日以内には通院を推奨)
(2) 過失割合の交渉方法
交差点での出会い頭衝突など、事故態様によっては過失割合が問題になります。
過失割合を有利にするためには、次のような方法を検討しましょう。
① 実況見分調書など警察が作成した刑事記録を取得する。
② 過失割合が争いになりそうな場合は、物件事故ではなく人身事故扱いにする。
③ ドライブレコーダーが相手車両についているか確認して、付いていれば写真撮影しておく。
④ 周囲に防犯カメラがついてないか確認する。動画の保存期間が短いので注意が必要です。
⑤ タイヤ痕や破片落下物があれば、事故現場の写真を撮影しておく。
(3) 治療費打ち切りの注意点
被害者の治療費は、加害者側の保険会社が病院に直接支払ってくれることが多いです。
もっとも、事案によっては、保険会社が突然治療費の支払いを打ち切ることもあります。
次のような場合には、治療費の打ち切りを受けやすいので注意が必要です。
① 症状が比較的軽微
② 症状の一貫性がない
③ 病院の診断書によくなってきたという記載がある
④ 事故態様が軽微
⑤ 車両修理費が少額
⑥ 整骨院治療のみで病院に通院していない
整骨院に通院する場合、並行して病院にも通院して診察を受け、けがの症状を主治医にしっかり申告するのが大切です。
(4) 弁護士に相談するべきかどうか
特に次のような場合、弁護士に相談して適切なアドバイスを受けたほうがよいです。
① 弁護士費用特約に加入している場合
② けがが重度の場合
③ 後遺障害が認定された場合
2. 交通事故加害者の正しい初動対応
交通事故を起こしてしまった場合、次の3点に注意しましょう。
① 被害者の救護を最優先にすること
交通事故があった場合は、すぐに車を停止して、けがをした人を救護し、道路上の危険を防止する対処をしなければなりません。
すぐに119番、110番通報をしましょう。
② 当事者間同士で示談をしないこと
保険に加入している場合、保険会社が示談の話し合いをします。当時者本人どうしで示談の話をしないようにしましょう。
③ 警察に事故態様を正確に伝えること
警察が作成する事故の記録を後からひっくり返すのは難しいです。
事故後の現場調べで、自分の記憶のとおり、しっかりと事故態様を伝えましょう。
3. 相続問題の正しい初動対応
相続の相談を受けたときに、まずは次の3点を確認しましょう。
① 相続放棄をする必要がないか検討する
相続放棄をする場合は、相続開始を知った時から3ヶ月以内に手続をとらないといけません。相続放棄の期間制限に注意しましょう。
② 遺言書がないか確認する
遺言者自らが作成した自筆証書遺言が見つかった場合は、勝手に封筒を開封してはいけません。
自筆証書遺言を見つけたら、裁判所での検認手続をする必要があります。
③ 遺留分の相談は期間制限に注意
遺留分侵害額請求をする場合は、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年以内に請求する必要があります。また、相続開始から10年を経過すると請求権が消滅します。