千葉県社会保険労務士会東葛支部の先生方との勉強会(2014.10.15)

開催日時:
2014年10月15日
セミナー分類:
その他
主催:
千葉県社会保険労務士会東葛支部自主研究会の先生方
講師:
三井 伸容 三井 伸容のプロフィール

千葉県社会保険労務士会東葛支部の先生方との勉強会(2014.10.15)

セミナー報告

次の内容で社会保険労務士向けの勉強会講師を担当しました。

1 固定残業代について
  • 総論
  • 固定残業代に関する近時の重要判例解説(テックジャパン事件)
  • 近時の下級審裁判例の傾向分析
  • 各裁判例を踏まえた会社視点での実践的な固定残業代制度
  • 残業代に関する他の重要判例のご紹介

関連情報

2 職場におけるいじめ・パワハラ問題
  • パワハラとは
  • パワハラの判断基準
  • 各裁判例を踏まえた会社視点でのケース検討
  • 会社視点からのパワハラ問題が抱えるリスク分析
  • 会社視点でのパワハラ問題対策(事実確認、交渉対応、訴訟対応等)
3 特殊な解雇事例のケース検討(高度専門職の労働者を対象とする場合)

本研修会に関連する質問と回答

Q 固定残業代とは何ですか?
A 「〇〇手当を〇時間分の時間外割増賃金として支給する」といった記載を雇用契約書などで見たことがないでしょうか。これがいわゆる固定残業代です。

固定残業代は、一定時間分までの時間外労働、休日労働、深夜業に関する割増賃金を定額で支払うものです。別の呼び方として「定額残業手当」や「みなし残業代」などと言うこともあります。

「手当」として支給するパターン以外にも、最近はあまり見なくなりましたが、基本給に残業代を組み込むパターンもあります。

Q 固定残業代が無効となることはありますか?
A あります。細かい話は割愛しますが、少なくとも以下の条件を満たさないと無効になる確率が高いです。
①通常の労働時間の賃金に当たる部分と固定残業代部分とが明確に判別できること
②固定残業代としての実質を備えていること

裁判例の中には、固定残業代の内訳(単価・時間数)、固定残業代部分を超えた場合の差額精算の実態、固定残業代に相当する時間数(長時間でないか)なども問題にするものがあります。

固定残業代のルールは複雑です。弁護士など専門家へのご相談をおすすめします。

Q パワハラとは何ですか?
A 正式にはパワーハラスメントといいます。パワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものです。

客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。管理職が過度に委縮しすぎないことが重要です。

Q パワハラが起きた場合、会社はどうなりますか?
A 会社内部の問題にとどまらず、民事上の責任や、公法上の責任を問われる可能性があります。業務とハラスメントの関係性が極めて薄いような例外的な場合でない限り、加害者だけではなく、雇用主である会社も損害賠償責任を負います。

会社としてハラスメントを防止できなかったことにつき、会社独自の損害賠償責任を負う場合もあります。

ハラスメントに関する各種法令上の体制整備等ができていない場合、違反に関する行政指導等を受けるおそれもあります。

参考リンク