借家関係を解消して不動産を有効活用する方法

開催日時:
2017年04月07日
セミナー分類:
不動産
主催:
よつば総合法律事務所
講師:
大澤 一郎 大澤 一郎のプロフィール
開催会場:
パレット柏

借家関係を解消して不動産を有効活用する方法

セミナー報告

第1 借家関係を解消するための方法

1. 期間満了による契約終了
2. 賃料不払いによる契約終了
3. その他債務不履行による契約終了
4. その他の原因による契約終了

第2 期間満了による正当事由の判断要素及び正当事由を満たすための方法

第3 立退料について

1. 立退料の算定要素と立退料相場の具体例
2. 立退料が関わる事案に関する具体的な交渉方法

第4 その他

本セミナーに関連する質問と回答

Q 期間満了によって建物賃貸借契約は終了しますか?
  • 終了しないことが多いです。

【解説】

  • 建物賃貸借契約の場合、①期間満了に加えて②正当事由があることが必要となります。そして、②正当事由は賃貸人に厳しめに判断される傾向にあります。
Q 期間満了による建物賃貸借契約の終了には正当事由が必要と聞きました。正当事由の判断ではどのような要素が考慮されますか?
  • ①賃貸人側の事情、②賃借人側の事情、③建物の賃貸借契約に関する従前の経緯、④建物の利用状況、⑤建物の現況、⑥立退料などが考慮されます。

【解説】

  • 総合考慮とはなりますが、賃貸人に厳しめの判断がなされることが多いです。
Q 期間満了による建物の賃貸借契約の終了を目指すにはどうすればよいですか。
次の順番に進めましょう。
① 専門家と相談し作戦を検討しましょう。
② 賃借人に通知書を送付しましょう。
③ 立退料の交渉をしましょう。
④ 合意で解決できない場合には裁判所への裁判提起を検討しましょう。

Q 賃料滞納が何カ月位あると明渡が認められる確率が高いですか?
  • 3カ月位滞納があると明渡が認められる確率が高いです。

【解説】

  • 滞納2カ月でも明渡が認められる事案もあります。他方、滞納4カ月以上でも明渡が認められない事案もあります。信頼関係がどの程度破壊されているのかにより明渡が認められる確率が変わってきます。
Q 賃料滞納による明渡の場合、解決までの期間はどの位かかりますか?
  • 事案によりますが、1カ月から6カ月程度のことが多いです。

【解説】

  • 弁護士名で明渡を求める通知書(内容証明郵便)の送付により解決する場合、1カ月程度で解決することもあります。
  • 裁判を起こした上で解決をする場合、3カ月から6カ月程度の期間がかかることが多いです。

関連情報

Q 賃料滞納以外の契約違反(債務不履行)による解除・明渡にはどのようなものがありますか?
次のようなものがあります。
① 無断転貸
② 無断での賃借権の譲渡
③ 使用目的や用法の特約違反
Q その他、見落としやすい契約終了・明渡の理由にはどのようなものがありますか?
次のようなものがあります。
① 建物ではない物件の賃貸借契約の場合、期間満了での明渡が可能です。例えば、屋根付きプレハブ駐車場のような建物とは言えないような施設の場合です。
② 使用貸借契約の場合、期間満了等での明渡が可能です。
③ 定期借家契約の場合、期間満了での明渡が可能です。
④ 取り壊し予定の建物の一時的な賃貸借契約の場合、期間満了での明渡が可能となることがあります。
⑤ 一時使用目的の賃貸借契約の場合、期間満了での明渡が可能となることがあります。
Q 賃料滞納はないですが、建物明渡をして欲しいです。何とか交渉を進めるきっかけはありませんか?
  • 賃料の増額請求をしつつ交渉を継続する方法があります。

【解説】

  • 賃料の増額請求は賃料額が不相当な場合には認められることがあります。賃料増額を主張しつつ建物明渡の交渉を行う場合、最終的に建物明渡の合意に至る確率が高まります。

参考リンク