労務問題についての留意事項

開催日時:
2024年04月02日 13:30 〜 16:30
セミナー分類:
企業法務
主催:
TKC千葉会
講師:
小林 義和 小林 義和のプロフィール
対象者:
税理士

労務問題についての留意事項

セミナー報告

TKC千葉会にて、税理士の先生向けに、労務問題についての留意事項というテーマで講義を行いました。

採用の問題から始まり、在職中の問題、退職時や退職後によく問題となる事項について、具体的事例を踏まえながら重要なポイントを解説しました。

参加者からも何度かご質問をいただき、議論が深まったセミナーとなりました。

具体的には、次のような労務問題の留意事項を解説しました。

1. 採用における留意事項

① 採用面接における質問
② その他の採用における留意事項

2. 在職中における留意事項

① 残業代
② ハラスメント
③ 労災事故
④ 委託か雇用か

3. 退職や退職後における留意事項

① 解雇と退職勧奨
② 横領等
③ 退職後における留意事項

セミナーを開催した背景と目的

近時の労働関係の法改正や人手不足問題により、労務の問題がよりクローズアップされています。

そのため、採用時、在職中、退職時、退職後のそれぞれの段階における労働問題の重要ポイントの理解を深めて日々の業務にいかしていただきたく、本セミナーを開催しました。

セミナーの内容

1. 採用における留意事項

① 採用面接における質問
企業には採用の自由があります。そして、採用面接等で応募者に質問をするなどして採用を判断します。

しかし、採用面接等で無制限に質問をしてよいわけではありません。そこで、質問してもよい事項、質問してはダメな事項について、具体例を紹介しながら解説しました。

② その他の採用における留意事項

採用のよくある次のような質問を解説しました。具体的には、次のような点を解説しました。

  • 求職者から不採用の理由を聞かれたとき、企業に回答する義務があるか?
  • 労働者が採用面接で職歴や学歴を偽っていたとき、解雇できるか?
  • 求職者が採用面接で病歴を偽って入社したとき、解雇できるか?

2. 在職中における留意事項

① 残業代
残業代で紛争になりやすい重要ポイントを解説しました。具体的には、未払い残業代の具体的計算方法、消滅時効、固定残業代などです。

また、各種手当が未払い残業代の計算の基礎賃金に含まれるかどうかや、休憩時間、管理監督者等も解説しました。

近年、消滅時効の期間が伸びたこともあり、残業代請求は高額化傾向にあります。適正な残業時間の把握、残業代の適切な計算が重要です。

② ハラスメント

ハラスメントの次のような質問を解説しました。

  • どのような出来事がパワーハラスメントに該当してしまうのか?
  • どのような出来事がセクシャルハラスメントに該当してしまうのか?
  • 業務上の指導とハラスメントの境界はどのようなものか?
  • パワハラ防止法が改正されたと聞いたが、どのような内容か?
③ 労災事故

企業の日々の事業活動において、従業員が負傷してしまうことがあります。そこで、労災事故の次のような質問を解説しました。

  • 労災保険を使用する事故はどのような事故か?
  • 労災事故が発生したときの企業の責任はどのようになるのか?
  • 企業としてどのような点に注意して対応していけばよいか?
④ 委託か雇用か

委託契約と雇用契約かの違いを解説しました。

業務委託契約という名前の契約書を作成していても、実態によっては雇用契約となってしまうことがあります。

雇用契約だと、未払い残業代が発生したり、解雇制限の規定が適用されたりします。注意が必要です。

3. 退職や退職後における留意事項

① 解雇と退職勧奨
問題社員の解雇の可否を、裁判例に基づき解説しました。

また、解雇は有効となる要件が厳しいです。そのため、合意退職の方が企業のリスクが少ないこと、合意退職のための退職勧奨の方法等も解説しました。

② 横領等

従業員が横領行為等が判明したときにどのように対応すればよいかを解説しました。また、顧問税理士が責任を負う可能性もあわせて解説しました。

横領等の従業員の不正を防止するためには、金銭や在庫等の管理体制を充実させることが非常に重要です。そのための管理方法も具体的に解説しました。

③ 退職後における留意事項

退職後における留意事項として、次のような点を解説しました。

  • 元従業員が顧客を奪っているときはどうすればよいか?
  • 元従業員が他の従業員を引き抜きしているときはどうすればよいか?
  • 業務の引継ぎが不十分なまま退職したときに、企業が元従業員に損害賠償請求できるか?

参加者の声

  • 当事務所でも手当について見直したいと思います。
  • 税理士が責任を負う可能性もあるのですね。
  • 面白かったです。日々の業務に活かしていきたいと思います。

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