不動産会社のための民法改正セミナー

開催日時:
2017年10月23日
セミナー分類:
不動産
主催:
よつば総合法律事務所
講師:
大澤 一郎 大澤 一郎のプロフィール

不動産会社のための民法改正セミナー

セミナー報告

不動産会社のための民法改正セミナー~不動産実務に与える影響・注意点というタイトルで民法改正について解説しました。

  • 民法改正のスケジュール
  • 民法改正の概要(時効・法定利率・保証・その他改正・不動産売買契約関係・不動産賃貸借契約関係)
  • 賃貸借契約において極度額の設定がなかったため連帯保証人への請求ができなくなってしまった事例の解説
  • 賃貸借契約において連帯保証人が死亡後の債務は保証の対象外となってしまった事例の解説
  • 賃貸借契約の主債務者が死亡後の債務は保証の対象外となってしまった事例の解説
  • 事業のために生じる債務の連帯保証契約は説明がないと取消の対象となってしまう事例の解説
  • 賃貸人の保証人に対する説明義務のルールが明確化された事例の解説
  • 不動産売買契約において追完請求等の新たな請求権が発生する事例の解説
  • 不動産売買契約において損害賠償の範囲が拡大する可能性がある事例の解説
  • 不動産売買契約における解除の範囲が拡大する可能性がある事例の解説
  • 勘違い(錯誤)によって売買契約が無効となる事案が増加の可能性がある事例の解説
  • 事業のための金銭の借入の個人保証人は公正証書の作成がないと無効となってしまう事例の解説  その他
弁護士大澤一郎

研修会に関連する質問と回答

Q 今までの瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)は2020年4月の民法改正でどうなりましたか?
  • 瑕疵担保責任という制度はなくなり、契約不適合責任という制度になりました。

【解説】

  • 今までの瑕疵担保責任で認められていた①解除、②損害賠償に加えて、③追完請求権(目的物の修補、代替物・不足分の引渡し)、④代金減額請求権が認められることとなりました。

参考情報:民法の一部を解説する法律(債権法改正)について(法務省)

Q 今までの連帯保証制度は2020年4月の民法改正でどうなりましたか?
  • 賃貸借契約の連帯保証の場合、極度額(限度額)を定めることが必要となります。そのため、2020年4月1日以降に新規に賃貸借契約を締結する場合、極度額を定めていないと連帯保証人に請求できなくなりますので注意しましょう。

【解説】

  • 民法改正までは、「賃貸借契約から発生する一切の債務」を連帯保証するという賃貸借契約の条項が一般的でした。2020年4月の民法改正以降、このような一切の債務を連帯保証するという条項は認められませんので要注意です。
  • 今後は、「賃料の〇か月分」「〇円」などと、具体的に連帯保証の上限の金額を決めることが必要となります。
  • なお、連帯保証制度の活用よりも保証会社を活用することが多くなると思われます。

参考情報:2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります(法務省)

Q 2020年3月31日までの新規契約では連帯保証人の保証の範囲について「一切の債務」としていました。2020年4月1日以降の更新契約の際にはどうすればよいですか?
  • 安全確実な方法は更新契約の際に連帯保証人の極度額(上限額)を「賃料の〇か月分」、「〇円」などと決める方法です。
  • 更新契約の際に賃借人の署名捺印は求めるものの、連帯保証人の署名捺印は求めないという方法も選択肢としてはあります。この方法の場合、従前に作成した賃貸借契約書の効力が維持されるという考えを前提にすると、連帯保証人の責任も「一切の債務」に及ぶと考えることが理論上はできるためです。
  • 更新契約に連帯保証人の署名捺印がない場合、連帯保証人の責任が一切の債務に及ぶかどうかについての確定的な見解はありません。そのため、連帯保証が無効となってしまうリスクを踏まえつつも、各社の実情に応じた判断をすることが望ましいでしょう。
  • 実務上は保証会社を利用することが、連帯保証をめぐるトラブルを避けるためには無難です。

参考情報:2020年4月1日から賃貸借契約に関する民法のルールが変わります(法務省)

参考リンク