- 相続財産管理人の主な業務
- 相続放棄の基礎知識
- 相続財産管理人の業務の流れ
- 相続財産管理人の選任申立の注意点
- 特別縁故者による財産分与の申立制度
セミナーを開催した背景と目的
相続の分野に興味を持つ異業種の方々が集まる勉強会で講師の依頼を受けました。
参加者には、税理士や司法書士など相続に関する基礎知識のある方が多くいらっしゃいましたが、参加者から「相続人全員が相続放棄をしたら、そのあとはどうなるのか?」という質問を受けることが何度かありました。
そこで、弁護士としての経験を踏まえて、相続放棄と相続財産管理人の実務について解説しました。
セミナーの内容
1. 相続財産管理人の主な業務
相続財産管理人について、次の点を解説しました。
① 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産管理人を選任できます。
② 相続財産管理人は、利害関係人または検察官の申立により、家庭裁判所が選任します。
(なお、2023年4月1日の民法改正により、新たに相続財産清算人という制度ができました。)
2. 相続放棄の基礎知識
相続放棄の基礎知識と現状について、次の点を解説しました。
① 相続放棄をすると、初めから相続人とならなかった者とみなされます。預貯金や不動産などの相続権を失う代わりに、借金などの負の財産も相続しなくて済みます。
② 相続人は、故人が亡くなったことを知ったときから原則として3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄を申し立てる必要があります。
3. 相続財産管理人の業務の流れ
相続財産管理人の業務の流れを解説しました。
相続財産管理人は、財産を金銭に変えたり、債務を支払ったりします。最後に相続財産が残ったときは、国庫に財産を引き継ぎます。
(なお、2023年4月1日の民法改正により、新たに相続財産清算人という制度ができました。)
4. 相続財産管理人の選任申立の注意点
相続財産管理人(相続財産清算人)と類似の制度として、次の制度を解説しました。
① 不在者財産管理人
② 失踪宣告
どの制度をどのようなときに利用するかは専門的な判断が必要です。迷ったら、相続に詳しい弁護士へのご相談をおすすめします。
5. 特別縁故者による財産分与の申立制度
特別縁故者による財産分与の申立制度について、次の点を解説しました。
① 特別縁故者とは、相続人がいないときに相続人以外の人に一定額の金銭を渡す制度です。
② 特別縁故者となりえるのは、次のような人です。
- 故人と生計を同じくしていた人
- 故人の療養看護に努めた人
- その他故人と特別の縁故があった人
裁判所に申立てをしないと、特別縁故者として金銭を受け取ることはできません。注意しましょう。