従業員の独立・競業トラブル

Vol.145
2021年06月号

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目次
「従業員の独立・競業トラブル」
「サウナのススメ」
「弁護士の連載記事のご紹介」
「ワインが苦手な人のためのワインの選び方~第46回」

従業員の独立・競業トラブル

今回は、ご相談いただくことも多い、「従業員の独立・競業トラブル」のルールや、会社の対応策について、お話させていただきます。
弁護士村岡つばさ

1 会社に在籍している場合

会社に在籍している間は、会社に損害を与えるような競業行為を行っていけないのは当たり前です。これは、会社・従業員との間の雇用契約から当然に導かれます。そのため、在籍中に行った競業行為(顧客・従業員の引抜き行為等)については、原則として、損害賠償請求や差止請求の対象となります。

2 会社を退職した後

会社を退職して以降は、従業員にも「職業選択の自由」「営業の自由」があります。そのため、「何も契約上の根拠がない場合」には、同業他社を立ち上げたり、既存顧客にアプローチをすることも許されます。この点、会社側としては中々理解しがたい部分もありますが、現状の裁判実務は、かなり「職業選択の自由」「営業の自由」を尊重する傾向にあります。なお、あまりにも酷い態様の場合には、契約上の根拠がなくても、不正競争防止法等により、損害賠償や差止請求が認められる余地もあります。ただし、ハードルはかなり高いのが実情です。

上記は、「何も契約上の根拠がない場合」ですが、入社時・退職時の誓約書や、就業規則等に定めることにより、一定の範囲で、競業行為を禁止することは可能です。ただし、後記3の問題があります。

3 競業禁止規定の有効性

競業禁止に関する規定(誓約書・就業規則等)を取り交わせば一安心!かというと、残念ながらそうではありません。競業が禁止される範囲(場所、時間)、従業員の役職、業務の特殊性、代償措置の有無(競業を禁止することの対価として手当を支払っているか等)等の諸事情を考慮し、競業禁止の規定自体が無効とされることも多くあります。

どの程度であれば許されるか、という線引きは中々難しいのですが、1年間以上、場所的範囲を限定せずに競業を禁止するのは、勿論他の事情によっても異なりますが、無効とされるリスクも相応にあるという印象を受けます。

4 会社の対応策

まずは契約上の根拠を設ける必要があります。退職時に労働者から誓約書を取るのは中々難しいので、入社時の誓約書+就業規則において、一定期間・場所において、競業を禁止する旨の記載をするのが良いでしょう。広すぎると、上記3の問題があるため、退職後「半年間」、「同一+隣接する市区町村内において」、というように、時間・場所を制限することをお勧めします。

実際に競業トラブルが起こってしまった場合には、交渉・裁判等により解決を図るほかないですが、明確な証拠を掴むのが難しい(多くのケースにおいて、引き抜かれた取引先・従業員は相手方の味方です)という側面もあり、事実上、請求を断念せざるを得ないことも多くあります。そのため、契約上の根拠を明確に定め、労働者が競業行為を断念せざるを得ない状況を作ることが、最も重要です。

(文責:弁護士 村岡 つばさ


サウナのススメ

こんにちは。弁護士の坂口です。今回は、『サウナ』についてご紹介します。

サウナといえば、どのようなイメージでしょうか。息苦しいほど熱いサウナ室で汗を流す…そんな絵が浮かびますね。私も、サウナを好きになる前は、熱い・苦しい・苦行・キツイ・修業・己との闘い・地獄・疲れる、といったイメージでした。でも最近サウナを好きになって知ったのは、サウナは本当はリラクゼーション、心地良いものだということです。

サウナねこ

そんなサウナの誤解をとくために、まずはサウナの楽しみ方を簡単にご紹介します。サウナは、まず
①サウナ室で体を温める(5分~15分)、②水風呂で体を冷やす(1分程度)、そして③浴場内の椅子などで休む(5分~30分)というサイクルを2~3周行います。

サウナというと、①サウナ室(灼熱)や②水風呂(極寒)ばかりが目立つので、「どうして好き好んでそんな辛いことを…」と思われがちです。しかし、実は、サウナの醍醐味は③休憩にあります。①サウナ室で身体を温めることも②水風呂で体を冷ますことも、③休憩を楽しむための準備なのです。

水風呂から上がって③休憩に入ると、体中が活性化し、頭の中は覚醒しているけれども真っ白、という不思議な感覚を体験できます(この状態は「ととのう」なんて表現されたりもします。)。この感覚が徐々に消えていった後に訪れるのは、深いリラックスです。ベッドに入って眠りに落ちる瞬間の「ふああ、気持ちがいい・・・」状態がずっと続いているような感覚です。意識は夢うつつでふわふわして雑念は遠ざかり、身体はじんわりと温まり、自分の呼吸や鼓動、肌に触れる空気の揺らぎを心地良く感じています。

そういえば。私たちは、今を生きているようで、「今この瞬間」に思いを馳せることはほとんどないといわれています。過去の失敗を反芻したり、懐かしい思い出に浸ったり、夏休みの計画に胸を躍らせたり、明日の会議のことを考えて憂鬱になったり。私たちの意識のほとんどは過去か未来に向いていて、多くの時間を「心ここにあらず」の状態で過ごしています。特に、後悔や怒り、不安などネガティブなことはなかなか頭から離れてくれませんね。そう考えると、サウナで今の心地よさだけに意識を集中して過ごす時間というのは、普段の生活の中ではなかなか得難いものかもしれません。

もう一つ、サウナを知っていただくために大事なことは、『無理は禁物』ということです。脱水症状や貧血の予防ももちろんですが、そもそもキツイと思うほどに追い込んではサウナのことを嫌いになってしまいます。サウナ室には12分計が置いてありますが、12分我慢しなければ、なんてことはありません。冷たい水を浴びたいと思う程度に体が温まったら出れば良いのです。冷たい水に浸かるのが苦手な方は、最初は足の先だけ、腰まででも十分です。寒くなったらすぐに水風呂を出て休憩するか、そのままサウナ室で再度温まってもOKです。ご自身が心地良いと思う範囲でサウナを楽しんでもらえればと思います。

こんなことを書いているとサウナに行きたくなってしまいました。執筆現在、20時をまわりましたが、私の本拠地こと「南柏温泉すみれ」は24時まで営業していますので、今夜もサウナに行くこととします。ここまで読んでくださりありがとうございました。


弁護士の連載記事のご紹介

各団体様の会報等で弁護士が法律記事の連載をしているので、ご紹介いたします。
記事はよつばの企業様向けサイトで見ることも可能です!もしよろしければご覧ください。

日本産業カウンセラー協会東関東支部会報連載 法律コラム

日本産業カウンセラー協会東関東支部様の会報にて法律コラムを連載しています。労働問題・事故等のコラムが多く掲載されています。

柏法人会会報連載 法律コラム

柏法人会様の会報にて法律コラムを掲載しています。直接事業に関わることから、事業に付随する相続や債権について等、企業様向けの幅広いテーマで執筆しています。

東京商工リサーチ情報千葉版「TSR情報千葉版」連載『知って得する!法律コラム』

東京商工リサーチ様が千葉県内の企業様を対象に発刊している「TSR情報千葉版」で掲載しています。こちらは連載がはじまったばかりなので、これからの記事にご期待ください!

東京商工リサーチ情報千葉版
日本産業カウンセラー協会東関東支部様の会報で連載している
弁護士 辻悠祐にインタビューしてみました!

Q1 記事のテーマはどのように決めていますか?

読者の皆様が興味がありそうな分野を中心にテーマを決めています。たとえば、産業カウンセラーの方の場合は、業務の中で、労働問題に関する相談や私生活に関しての相談が想定されるので、労働問題に関する記事や事故・借金などのテーマを中心に記事を作成しようと思っています。

Q2 記事作成にあたり気を付けていることはありますか?

記事はなるべく分かりやすい内容にしようと心掛けています。実践できているかは分かりませんが(笑)これからも、分かりやすい記事を作成するために精進したいと思います!

Q3 今後、書こうと思っているテーマはありますか?

産業カウンセラーの方向けでは、先ほど述べたように、引き続き労働問題に関する記事や事故・借金などのテーマを中心に記事を作成しようと思っています。


~第46回 いつもと違ったブドウ品種~

過去のコラムは当事務所サイトのニュースレターバックナンバーをご覧ください。
当事務所ニューレターバックナンバー

今日はいつもと違ったブドウ品種のワインが飲みたい、という場合のワインのご紹介です。いつもはシャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、カベルネソーヴィニヨン、メルローなどのワインを飲んでいるが、今日はいつもと違うことがしたいという方にお勧めです。

1 ヴィオニエ

華やかな香りがあるという印象の白ワイン品種です。香りや味わいに好みが分かれるかもしれませんが、私は結構気に入っています。

2 甲州

日本の白ワイン品種です。日本産ということでその土地に旅行に行ったような気分になるかもしれません。少し冷やして飲んだ方がおいしいと思うことがいままでは多かったです。

3 アリゴテ

酸味が強い印象の白ワイン品種です。フレッシュな感じの味わいです。香りや味わいに好みがわかれるかもしれませんが、私は結構気に入っています。

4 コルテーゼ

イタリアの白ワイン品種です。「ガヴィ」という白ワインに使われています。全体的にバランスがよいので、どのような料理にも合うような気がします。

5 サンジョヴェーゼ

イタリアの赤ワイン品種です。「キャンティ」という赤ワインに使われています。全体的にバランスがよいのでどんな料理に合います。

ワイン

6 マルベック

アルゼンチンの赤ワイン品種です。しっかりとした味わいで値段も比較的お手頃です。ステーキなどのしっかりした料理と相性がよいような気がします。焼肉なども相性がよいかもしれません。

「いつもと違うことがしたい!!」という方へのお勧めブドウ品種でした。

(文責 弁護士 大澤一郎