介護・福祉の業務を広く扱っている株式会社マザアス様の研修会にお招きいただきました。
「弁護士から見た交通事故と介護・福祉のお話」というテーマで2回にわたり研修講師を担当しました。基本編は4月13日、応用編は4月27日に開催しました。全国からZoomで参加される方も多くいらっしゃいました。
具体的には、交通事故の基礎的な内容と、交通事故にまつわる介護・福祉について解説しました。
第1回 基本編(2021年4月13日)
1. データから見る交通事故の現状
2. 交通事故にあった直後にやるべき7つのこと
3. 交通事故と保険・社会保障の問題
第2回 応用編(2021年4月27日)
1. 交通事故損害賠償の手続きの流れ
2. 損害賠償の費目(総論)
3. 損害賠償の費目(各論)
① 装具・器具等購入費
② 将来介護費
③ 自宅改修費
セミナーを開催した背景と目的
近年、交通事故の発生件数が減少傾向にあるというニュースを耳にするようになりましたが、それでも2020年には全国で30万件以上の交通事故が発生しています。このように、交通事故はまだまだ身近に起きうる状況です。
交通事故が発生したときは、損害賠償の問題はもちろんのこと、保険や社会保障制度、刑事手続など、さまざまなことが問題になります。
また、重大な事故が発生したときは、被害者に重度の後遺症が残ってしまうことが多くあります。その場合には、介護や福祉の問題が出てきます。
介護・福祉の業務を広く取り扱っている企業において、交通事故と介護・福祉の問題を正しく理解していただきたく、本セミナーを開催しました。
セミナーの内容
第1回 基本編
1. データから見る交通事故の現状
人身事故、負傷者数、重症者数、死者数ともにここ10年で減少傾向です。もっとも、重症者数と死者数の減少率は低いです。
つまり、交通事故の数は大きく減っているものの、重症者や死者の数はそれほど大きく減っていません。
2. 交通事故にあった直後にやるべき7つのこと
交通事故にあった直後にやるべきこととして、7つのことをお伝えしました。
3. 交通事故と保険・社会保障の問題
自動車保険の種類として、強制加入の自賠責保険と任意保険があることを解説しました。
そして、任意保険には、対人対物賠償保険の他にさまざまな保険があることを解説しました。具体的には次のような内容です。
また、自動車保険以外の保険・補償として、国民健康保険や労働災害補償保険などの社会保険があります。また、交通事故特有の制度として政府保障事業もあります。そこで、どのような場面でどのような制度を活用するか解説しました。
第2回 応用編
1. 交通事故損害賠償の手続きの流れ
事故の被害にあい、けがをしたときの損害賠償請求手続きの流れを説明しました。
2. 損害賠償の費目(総論)
事故でけがをしたときに、どのような請求ができるか解説しました。また、けがではない物的損害が発生したときに、どのような請求ができるのかも解説しました。
3. 損害賠償の費目(各論)
損害賠償の費目の中でも、特に介護・福祉の仕事をしている方に知っていただきたい、装具・器具等購入費、将来介護費、自宅改修費を解説しました。
① 装具・器具等購入費
どのような装具・器具の購入費用が賠償の対象になるのかや、装具・器具等購入費の具体的な算出方法を解説しました。
② 将来介護費
どのようなケースで将来介護費が認められるのか、どのような計算方法で将来介護費を算出するのかを解説しました。
③ 自宅改修費
自宅改修費は、具体的にどのようなものまで認められるのか、自宅改修をするにあたり、損害賠償との関係で気を付けておくべき点などを解説しました。