保険代理店の皆様を対象に、交通事故に関するセミナーを開催しました。
今回は、交通事故の被害者が保険会社とトラブルになりやすい、物損における「クラシックカー」「カスタムカー」「積載物」「評価損」という4つの相談事例を想定して、弁護士から見た解決のポイントを解説しました。
お客様にぜひ伝えて欲しい実践的なアドバイスの方法を極力具体的に解説しました。具体的には次の内容です。
- 車両の賠償額の原則
- クラシックカーの相談例
- カスタムカーの相談例
- 積載物の相談例
- 評価損の相談例
セミナーを開催した背景と目的
物損はもめやすいです。特に、クラシックカー、カスタムカー、積載物、評価損などはトラブルになりやすいです。
そこで、保険代理店様が的確なアドバイスを契約者にしていただき、一層の信頼関係を勝ち取っていただきたいという想いから本セミナーを開催しました。
※なお、物損のみのご相談は現在お取り扱いしていませんのでご了承ください。
セミナーの内容
1. 車両の賠償額の原則
車両の賠償額は、次の2つのうち低い金額になることが原則であることを解説しました。
① 車両の修理代
② 車両時価と買替諸費用の合計額
2. クラシックカーの相談例
(1) クラシックカーの問題点
- 希少性が高い車なので、類似の売買事例を探すことが難しいです。
- 修理のためのパーツを調達することが難しいです。
- 時価も修理代もわかりにくいため、保険会社が適切妥当な提案をしてこないことがあります。
(2) 交渉のポイント
- 修理代の資料をしっかり準備しましょう。特殊な修理が必要になったり、パーツの価格が争いになったりすることもあります。
- 時価額の資料をしっかり準備しましょう。類似の車両の売買価格の資料などをインターネットで調べたり、専門店への確認をしたりすることが望ましいです。
3. カスタムカーの相談例
(1) カスタムカーの問題点
- 高額な装備や装飾などを施しているため、修理費が高額になりやすいです。
- 修理費用の算定が困難なことがあります。
- 裁判でも個別の事案によって判断にばらつきが多いです。
(2) 交渉のポイント
- 修理代の資料をしっかり準備しましょう。特殊な修理が必要になったり、パーツの価格が争いになったりすることもあります。
- 時価額の資料をしっかり準備しましょう。類似の車両の売買価格の資料などをインターネットで調べたり、専門店への確認をしたりすることが望ましいです。
4. 積載物の相談例
(1) 積載物の問題点
- 購入から一定期間が経過しているため、購入価格ではなく中古品としての時期相当額での賠償となることが多いです。
- 積載物が本当に損傷しているかが争いになることがあります。
(2) 交渉のポイント
- 購入年月日・購入店名・購入金額を書面でまとめましょう。
- 積載物の損傷状況も書面でまとめましょう。損傷状況がわかる写真があるとよいです。
- 購入時の領収書までは必要でないことが多いです。
5. 評価損の相談例
(1) 評価損の問題点
- 車両の十分な修理をした場合でも、修理後の車両価格が事故前の価格を下回ることがあります。その下がった価格が評価損(格落ち損害)です。
- 評価損は算定方法が難しいです。
- 評価損を保険会社が認めないことも多く、交渉が難航しやすいです。
(2) 評価損の交渉のポイント
- 修理費用の30%相当額が評価損の上限となることが多いです。
- 評価損を認めた具体的な裁判例や客観的資料を示すなどの対応が重要です。
- 一般財団法人日本自動車査定協会の事故減価額証明書を取得する方法もあります。