税理士の先生を対象として、相続でもめやすいパターン、遺言書や生命保険による生前対策、トラブル防止の要注意ポイントなどを解説しました。具体的には次のような内容です。
- 相続でもめやすいパターン(遺言書が必要なパターンなど)
- 相続法の要注意ポイント(近年の法改正、法務と税務で異なる点など)
- 遺言書による生前対策
- 生命保険による生前対策
- 税理士が知っておきたいトラブル防止の要注意ポイント(損害賠償や弁護士法違反)
多くの税理士の先生にご参加いただきました。
セミナーを開催した背景と目的
2019年から相続のルールが大きく変わっています。
また、相続に関するトラブルは増加傾向です。遺言書や生命保険による生前対策の必要性もより高まっています。
そこで、本セミナーでは税理士の先生を対象として、法改正やトラブル防止のために理解しておくべき内容について弁護士が解説しました。
セミナーの内容
1. 相続でもめやすいパターン
相続にはもめやすいパターンがあります。
そこで、過去の経験を元にして、相続でもめやすいパターンを解説しました。具体的には次のような事例です。
- 会社を経営している人の相続
- 評価に争いが生じやすい不動産を持っている人の相続
- 子供がいない人の相続
- 離婚や再婚がある人の相続
- 介護の負担などがアンバランスな人の相続
2. 相続法の要注意ポイント
① 遺産分割の流れ
遺産分割の流れ全般を解説するとともに、次のような順番で進めると遺産分割協議が進みやすいことなどを解説しました。
- 相続人の範囲を確定する。
- 遺産の範囲を確定する。
- 遺産の評価をする。
- 特別受益や寄与分を検討する。
- 遺産分割の具体的な分け方を決定する。
② 相続における借金の扱い
法律のルールでは、借金は法定相続分で各相続人が分割して承継することなどを解説しました。
また、相続放棄は期間制限に注意すべきことなどを解説しました。
③ 近年の相続法の改正
近年、次のような相続法の改正があったことなどを解説しました。
- 配偶者の居住権の保護
- 自筆証書遺言の方式緩和
- 自筆証書遺言の保管制度
- 配偶者への自宅贈与の優遇
- 預貯金の払戻し制度
- 遺留分制度に関する見直し
- 相続の効力等に関する見直し
- 特別の寄与の制度
④ 税務と法律の相違点
税務と法務では次のような点が異なることなどを解説しました。
- 不動産の評価額
- 株式の評価額
- 相続人の範囲
- 相続財産の範囲
- 葬儀費用
3. 遺言書による生前対策
遺産分割をスムーズに進めるには遺言書の作成が有効です。
特に、次のようなときは遺言書の作成が特に有効なことなどを解説しました。
- 子供がいない夫婦のとき
- 相続人のなかに行方不明者がいるとき
- 前妻との間に子供がいるとき
4. 生命保険による生前対策
生命保険を使うことにより、次の3つの効果があることを解説しました。
- 節税になる。
- 納税資金をすぐに準備できる。
- 故人の意思を反映した遺産分割がまとまりやすくなる。
5. 税理士が知っておきたいトラブル防止の要注意ポイント
① お客様から損害賠償請求をされた事例の解説
相続財産の調査不足や相続人の範囲の誤りなどにより、税理士が損害賠償請求をされた事例を解説しました。
② 非弁行為を疑われた事例の解説
非弁行為とは、報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱うことを業とすることなどです。弁護士法第72条で禁止されています。
税理士には弁護士法第72条違反を疑われやすいポイントがあります。結果的には大きな問題とはなりにくいものの、過去の経験をもとにした複数の事例を解説しました。