弁護士が教える従業員トラブル 予防と解決のコツ(労災・ハラスメント編)

開催日時:
2019年04月16日
セミナー分類:
企業法務
主催:
埼玉県の損害保険代理店様
講師:
三井 伸容 三井 伸容のプロフィール
開催会場:
越谷商工会議所

弁護士が教える従業員トラブル 予防と解決のコツ(労災・ハラスメント編)

セミナー報告

損害保険代理店様主催で埼玉県内の事業主様向けに人事労務のセミナーを行いました。リスクコンサルティングの観点から主に以下の内容を解説しました。

1 最近のトピック
(1)残業代請求のための労働時間記録アプリの登場
(2)人手不足倒産が増加
2 労働トラブルの対策の必要性
(1)労働トラブルによる賠償リスク
(2)報道、公表、弁護士やユニオン等の情報発信による風評リスク
(3)人手不足リスク(人が集まらない、定着しない)
3 いざというときに備えた「労災と損害賠償」の話
(1)「労災と損害賠償」に関する基礎知識
高額の損害賠償請求が認められた裁判例のご紹介
(2)最新事例、判例等を踏まえた最近の労災トラブルの傾向
①近時の脳・心臓疾患、精神障害等の労災の発生状況
脳・心臓疾患や精神疾患など、重大な結果に結び付く労災申請及び認定件数が増加傾向。賠償額も高額化。
(要因)労働市場の流動化・働き方の多様化、労働者の権利意識・法的知識の向上、労災認定基準の明確化、弁護士へのアクセスの容易化など
②労働者はなぜ労災申請するのか(労災認定による労働者側のメリット)
補償の支給がされること、雇用主への責任追及が容易化、解雇制限など

関連情報

4 これだけは知っておきたい! 職場のハラスメント問題
(1)セクハラ、パワハラなどの職場のハラスメント問題の基礎知識
①ハラスメントに関する最近のトピック
②総合労働相談コーナーでも「いじめ・いやがらせ」の相談が近似増加傾向
③パワハラ・セクハラ・マタハラに関する基礎知識
(2)最新事例、判例等を踏まえた最近のハラスメントトラブルの傾向

5 近時の傾向を踏まえた労災、ハラスメント等の従業員トラブルの対処法
(1)労災
①労災隠しの危険性
②事故状況の証拠化の重要性
③被災者及びその家族対応での注意点
④労災が多い業界
⑤補償が労災保険だけで不十分であること(労災上乗せ保険、雇用慣行賠償責任保険の重要性)
(2)ハラスメント
①ハラスメントが発生した場合の法的責任、賠償金の額、内訳
②会社が行うべき対応(事実調査、処分・対応時の注意点)

本セミナーに関連する質問と回答

Q パワハラとは何ですか?
A 正式にはパワーハラスメントといいます。パワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものです。

客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導はパワーハラスメントには該当しません。管理職が過度に委縮しすぎないことが重要です。

Q パワハラが起きた場合、会社はどうなりますか?
A 会社内部の問題にとどまらず、民事上の責任や、公法上の責任を問われる可能性があります。業務とハラスメントの関係性が極めて薄いような例外的な場合でない限り、加害者だけではなく、その雇用主である会社も損害賠償責任を負います。

会社としてハラスメントを防止できなかったことにつき、会社独自の損害賠償責任を
負う場合もあります。

ハラスメントに関する各種法令上の体制整備等ができていない場合、当該違反に関する行政指導等を受けるおそれもあります。

参考リンク