法改正に対応!-契約書総ざらいセミナー

開催日時:
2021年05月21日 16:30 〜 17:30
セミナー分類:
企業法務
主催:
よつば総合法律事務所
講師:
村岡 つばさ 村岡 つばさのプロフィール
開催会場:
オンライン(ZOOMでの開催)
対象者:
企業様、士業様
受講料:

無料

法改正に対応!-契約書総ざらいセミナー

セミナー報告

セミナー開催趣旨

2020年4月から改正民法が施行されています。契約書も改正民法に対応することが必要です。

本セミナーでは、契約書や規則の重要性、法改正に伴いチェックすべき契約書の条項、具体的な変更の方法や、契約書の不備が原因で発生したトラブルを解説しました。

特に、次のようなお悩みについて解決策を提示しました。
① 大分前に作成した契約書のひな形を利用している
② そもそも弁護士に契約書を見てもらったことがなく、しっかりした契約書か不安
③ 一度、自社の契約書を見直したいと思っている

目次

1. 民法改正-こんな契約書は大丈夫?
① 建物賃貸借契約
② 業務委託契約
③ 工事請負契約
④ 物品売買契約
2. 雇用契約
① 近時の法改正のおさらい
② 雇用契約書
③ 就業規則
④ 労働時間管理の方法?
3. 本当にあった「契約書のトラブル」
① 債務者が破産!保証人がいるので大丈夫ですよね?
② いきなり契約を解除された!残りの期間の委託料は補償してもらえますか?
③ 従業員が同業他社を設立!さすがに損害賠償請求はできますよね?

概要

まずは事務所と弁護士の紹介をしました。今回のセミナーは、特に企業法務の実績が多い弁護士が講師をしました。

1. 民法改正-こんな契約書は大丈夫?

最初に「民法とは?」についての解説からスタートしました。また、2020年4月1日から施行された改正民法を解説しました。民法の債権法分野の改正は、社会や経済の変化に対応するため、約120年ぶりの改正です。

主な改正点は次の通りです。

  • 消滅時効制度の改正
  • 法定利率の引き下げや変動制の導入
  • 契約不適合責任
  • 保証制度の変更
  • その他

① 建物賃貸借契約
賃貸借契約についての主な改正点は次の通りです。

  • 賃貸人の地位の移転
  • 一部滅失
  • 原状回復
  • 保証
  • その他

たとえば、建物の一部滅失の効果の条項は次の通りです。

建物の一部が賃借人の帰責事由によらずに滅失等して使用・収益できない場合、賃料は当然減額(民法第611条1項)

この条項をふまえ、不動産オーナーに有利になるような契約書の文面を紹介しました。

また、原状回復の条項は次の通りです。

通常損耗や経年変化については、借主は原状回復義務を負わない(民法第621条)

この条項をふまえ、不動産オーナーに有利になるような契約書の文面を紹介しました。

続いて、根保証契約の見直しについてです。保証契約締結にあたり、極度額の定めが必要になりました。
極度額の条項は次の通りです。

極度額の定めのない根保証は無効(民法第465条の2第2項)

この条項をふまえ、オーナーに有利になるような契約書の文面を紹介しました。

② 業務委託契約
委任契約の主な改正点は次の通りです。

  • 複受任
  • 報酬
  • 委任契約の解除に伴う損害賠償

報酬の条項は次の通りになります。
履行の割合に応じて請求可を明文化(民法第648条の2第2項、第634条)
この条項をふまえ、受託者に有利になるような契約書の文面を紹介しました。

③ 工事請負契約
請負契約の主な改正点は次の通りです。

  • 契約不適合責任
  • その他

契約不適合責任の条項は次の通りになります。

瑕疵担保責任が契約不適合責任に(民法第559条、第561条以下)

この条項をふまえ、契約書の文面を紹介しました。

④ 動産売買契約
動産売買契約についての主な改正点は次の通りです。

  • 手付
  • 売主の基本的な義務
  • 契約不適合責任
  • その他

契約不適合責任の条項は次の通りです。

瑕疵担保責任が契約不適合責任に(民法第561条以下)

この条項をふまえ、売主に有利になるような契約書の文面を紹介しました。

危険負担の条項は次の通りになります。

危険の移転時期が引渡し時(民法第536条以下)

この条項をふまえ、契約書の文面を紹介しました。

質疑応答を挟み、第2章に移りました。

2. 雇用契約

次に、雇用契約の最近の法改正を解説しました。

① 消滅時効

消滅時効とは、「一定の期間が経過し時効が完成した場合、債務者側の主張(援用)により、債権を消滅させるルール」です。労働分野でどのような変化があるかを解説しました。

② 賃金請求権(残業代等)の消滅時効

民法改正前は賃金請求権の消滅時効は2年でした。2020年4月1日からの改正後は、当分の間は3年、いずれは5年になります。

さかのぼっての適用はありません。実質的な影響が出るのは2022年4月1日からです。時効の起算点は給料日翌日というのは変更がありません。

3. 本当にあった「契約書のトラブル」

様々な相談事例とともに、契約書上の問題点、リーガルチェックのポイント、就業規則や賃金規程上の問題点などを、就業規則違反の労働契約(労働契約法第12条)も紹介し、解説しました。

4. まとめ

最後に、本日の内容を以下にまとめ、当事務所のリーガルサービスを紹介し、セミナーを締めくくりました。
① 民法改正をきっかけに、契約書や規則の不備のリスクの把握!
② 問題のある契約書や規則は即座に修正!
③ 修正できない場合の対応確認!