千葉県社会保険労務士会東葛支部に所属されている社会保険労務士の先生方に向けて、労働問題と関わる民法の基礎知識についてお話をさせていただきました。
具体的な研修内容は、次のとおりです。
- 労働問題と民法の関係
- 実務上よく問題になる民法のルール
- (1) 意思表示
- (2) 契約の成立・終了
- (3) 業務委託契約(請負・委任)と労働契約
- (4) 時効
- (5) 不法行為・使用者責任と損害賠償
- 労働問題と事実認定
- 本日のまとめ

研修会を開催した背景と目的
私は、以前柏事務所に所属していた際に、千葉県社会保険労務士会東葛支部に社労士兼弁護士として所属しておりました。
そのため、普段から社会保険労務士の先生方にお世話になることが多く、そのご縁もあって、今回研修の講師のご依頼をいただきました。
社会保険労務士としての日々業務をする中でも民法に関わる問題にぶつかることがあります。そのため、今回は業務に関わる民法の基礎知識をテーマとしました。
また、民法やその条文の重要性を再確認したい、事実認定に関する話も聞いてみたいとのご要望をいただきましたので、それらを踏まえて、研修内容を決定しました。
以前社労士会でお世話になっており、今回久しぶりにお会いする先生方もたくさんいらっしゃいました。皆様から気軽にお声掛けいただき、大変有意義な時間を過ごすことができました。
研修会の内容
1. 労働問題と民法の関係
最初に導入部分のお話をしました。具体的には、そもそも、労働者と使用者との間の労働契約において、なぜ民法の適用が問題になるのか、民法の体系の概要などをお話ししました。
以下のスライドのとおり、労働契約も「契約」であり、一般的なルールは民法の定めによることなどをお話ししました。
2. 実務上よく問題になる民法のルール
次に実務上よく問題になる民法のルールについて、事例や経験を交えてお話ししました。
具体的には、次のテーマです。
- (1) 意思表示
- (2) 契約の成立・終了
- (3) 業務委託契約(請負・委任)と労働契約
- (4) 時効
- (5) 不法行為・使用者責任と損害賠償
特に「意思表示」や「契約の成立」については、実務上、よく問題になるため、特に力を入れてご説明しました。
たとえば「(1)意思表示」については、以下の事例をもとに実際の条文に照らして事案を検討しました。
事例や条文、法律のルールの解説をした後、各論点について、実務上の注意点も解説しました。事例のように退職勧奨の場面で退職の意思表示を争われることがあるため、以下のスライドのとおり、発言内容の注意点などをお伝えしました。
また、関連する問題として、意思表示の到達が問題になった近時の裁判例を挙げました。労働問題においても、意思表示の有効性や到達が重要な場面が多くあるため、実際に弁護士が実務上注意したり、工夫したりしている点もお伝えしました。
3. 労働問題と事実認定
主にハラスメント事案を想定し、事実認定に関するポイントを解説しました。
事実認定が問題となる場面として、会社側の懲戒処分や人事上の措置の判断の前提となる場面が多いことをお伝えしました。
また、実際に事実認定が問題になった裁判例もご紹介し、ご説明した事実認定のポイントが極力具体的にイメージできるよう意識してお話ししました。
たとえば、事実認定に先立つヒアリングとして、次のポイントを解説しています。