よくある企業トラブル~知識として知っておきたい法律問題

開催日時:
2016年08月24日
セミナー分類:
企業法務
主催:
中小企業診断士の先生方及び社会保険労務士の先生方
講師:
三井 伸容 三井 伸容のプロフィール
開催会場:
パレット柏

よくある企業トラブル~知識として知っておきたい法律問題

セミナー報告

中小企業診断士と社会保険労務士の先生方との合同勉強会にて、講師を担当しました。
講義内容の概要は次の通りです。

1 取引先とのトラブル
⑴契約交渉の各プロセスについて
①契約交渉
②契約締結
③契約の履行、終了

⑵契約締結上の過失について
①交渉破棄型
②説明義務違反・不当勧誘型
③契約無効・取消型
④偶発事故型

⑶契約交渉上の注意点
・相手方に過度な期待をさせる言動に注意
・相手方の知識、経験などに応じて適切な情報提供
・契約交渉過程での文書やメール内容に注意
・契約交渉段階で覚書や中間合意などをする場合
・社内決裁、取締役会決議など必要な社内手続

⑷予防法務について
・契約書の作成上の注意点
・取引先の危険な兆候の見分け方
・債権回収について
・債権回収を弁護士に依頼する場合の注意点等

2 顧客とのトラブル(クレーマー対策)
⑴総論
⑵分類
⑶初動対応
⑷法的な対応

3 内部トラブル(労働問題)
⑴最近3か年度の民事上の主な個別労働紛争に係る相談件数
⑵パワハラ
・パワハラとは
・業務上必要な指導との線引き
・パワハラと言われたいためには
⑶マタハラ
・通達の理解
⑷メンタルヘルス
・私傷病と労災
⑸競業避止・秘密保持
⑹近時の労働トラブルの傾向等

本セミナーに関連する質問と回答

Q 契約締結上の過失とは何ですか?
A 契約交渉過程における信義則上の義務に違反したことを理由に、当事者の一方が相手方に生じた損害を賠償する義務が認められる場合があります。

要するに、契約書に署名・捺印していなくても法的な責任が発生するという理論です。

Q 契約書作成の注意点を1つ挙げると何ですか?
A 契約書に書かれた内容通りの約束をしたと通常は扱われます。「読んでいない」「意味がよくわからなかった」というのは通じません。読んでもよくわからないときは弁護士へのご相談をおすすめします。

Q 債権回収の注意点を1つ挙げると何ですか?
A 早期に行動することです。期限に遅れたらすぐに督促しましょう。督促はメール、郵送、電話などを使い分けましょう。

Q クレーマー対策の注意点を1つ挙げると何ですか?
A ①会社に非があるのか、②会社に全く非がないのか、③グレーなのか事実関係を把握しましょう。事実関係を把握すれば解決の方向性が見えてくることが多いです。

Q パワハラとは何ですか?
A 正式にはパワーハラスメントといいます。パワーハラスメントとは、職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものをいいます。

なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。線引きが非常に難しいので、管理職が過度に委縮しすぎないように注意が必要です。

Q マタハラとは何ですか?
A 特に法令上の明確な定義があるわけではありませんが、職場の妊娠・出産・育児休業等に対するハラスメントを指すことが多いです。

「職場」において行われる上司・同僚からの言動により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業・介護休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることをいいます。

参考リンク