建物明渡請求について

Vol.34
2012年03月号

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目次
「建物明渡請求について」
「事務所近況」

建物明渡請求について

~家賃を滞納している賃借人がなかなか賃借物件から出て行ってくれない。そんなときに、とるべき手段は?手続きは?
今月は、このようなケースを解決するための建物明渡請求について、簡潔にご説明致します。①賃料支払いの請求
賃貸物件・管理物件で入居者・賃借人の家賃滞納が発生した場合、まずは、賃貸人や管理会社が家賃(賃料)の督促をします。

② 契約解除
入居者・賃借人に対し、内容証明郵便で契約解除を通知し、建物明け渡しを求めます。事案によっては直ちに訴訟提起します。
※ 入居者・賃借人に対し、建物明渡しを請求する場合、まず、賃借権(借家権)の根拠とな
る賃貸借契約を終了させるために、契約解除を通知する必要があります。
そして、解除を行うためには、民法541条(債務不履行解除)の要件を満たす+判例上、
1回の賃料不払い(債務不履行)ではなく、場合によりますが、家賃3ヶ月程度以上の不払いが必要とされています。

③ 訴訟提起
入居者・賃借人が建物明渡しや賃料請求に応じない場合、被告の住所地若しくは不動産の所在地を管轄する裁判所に訴訟を提起します。
※ 建物明渡請求事件(家賃滞納)の事案では、家賃滞納の事実等に争いがなければ、裁
判は1ヶ月~3ヶ月程度で終わることもあります。

④ 強制執行
入居者・賃借人が判決若しくは裁判上の和解に従わない場合、直ちに不動産の所在地を管轄する裁判所に強制執行(明渡し執行+動産執行)を申し立てます。
※動産執行は建物内の動産処分に必要となることがあります。

建物明渡しの催告(強制執行申立から2~3週間)
催告とは、執行官と呼ばれる人が、現地に赴き、賃借人に任意の明渡しを請求することです。
※明らかに入居者・賃借人がいない場合、この日で明渡し完了となることもあります。

建物明渡しの断行(強制執行申立から6~7週間)
断行とは強制執行を完結させることです。この日に建物を賃貸人に引き渡します。通常は建物の鍵を交換します。

⑤ 明渡し完了
賃貸人が建物の引渡しを受けた時点で、明け渡し完了となります。

~おわりに~
建物の強制執行手続が完了するまで、多くの時間・費用がかかるのが現実です。普通のマンションなどでも、弁護士費用や執行にかかる裁判所の費用を含めて最大で100万円~200万円かかってしまうこともございます。また、ケースによっては、公示送達や仮処分などをする必要があり、スムーズな明渡の実現は、難しいことも多いです。
そこで、費用・時間のコスト削減のためにも、早めに弁護士に相談をし、任意の交渉段階(①の段階)から適切な対応をすることをお勧め致します。

(文責 松村茉里)


【事務所近況】

・平成24年2月25日に、当事務所の弁護士の川崎翔が、東京にて交通事故・後遺障害認定実務講座のゲスト講師をしました。弁護士約50人を前にして堂々たるセミナー講師ぶりだったと参加した弁護士から聞きました。
・当事務所の女性弁護士の松村茉里、前原彩が柏青年会議所、柏商工会議所青年部に入会(予定)となりました。柏は最近色々ニュースを賑わしていますが、よりよい町になるように、当事務所でも積極的に協力していきたいと思います。

(文責 大澤一郎)