遺産分割について

Vol.35
2012年04月号

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目次
「遺産分割について」
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遺産分割について

人の命は限りあるもの、悲しいことですがいつかはご親族も亡くなられます。亡くなられたご親族に遺産が残されていた場合、遺産分割をどのようにすればよいのでしょうか。
今月は、遺産分割を適切に行うための流れについて、簡潔にご説明致します。① 相続人の把握

遺産分割協議に無資格者が含まれている場合や、有資格者の一部を除外して分割協議がなされた場合には、分割が無効になる可能性があります。そのため、戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、住民票等により、誰が相続人かを的確に把握する必要があります。

② 相続財産の把握とその評価
相続財産の一部を除外して遺産分割がなされた場合はその除外された財産について遺産分割後再び分割が問題となり、また、相続財産について債務が積極財産を上回る場合には放棄(民法915条)や限定承認(民法910条)を速やかに検討する必要が生じます。このような問題を把握するためにも、依頼者からの聴取を出発点として、相続税申告書や不動産登記簿謄本、預貯金等残高証明書等を収集するなどして、相続財産がどの範囲で存在するかを的確に把握する必要があります。
また、生前贈与や寄与分等の有無についても、分割の基礎となる遺産の計算において問題となる可能性があるのでその調査も必要です。

さらに、相続財産、特に不動産についてはその評価額をいくらと設定すればよいのかという難しい問題もあり、相続財産の的確な把握・評価は遺産分割において重要なポイントとなります。

③ 遺言の存否とその内容の確認
有効な遺言が存在すると、その内容が遺産の分割において効力を持ちます。そこで、依頼者本人や他の相続人への問い合わせ、さらには公証役場への問い合わせ等により、遺言の存否及び内容を確認する必要があります。そして、遺言の内容が一部の相続人の遺留分を侵害している場合は、速やかに遺留分減殺の意思表示をする必要も生じます。

④ 遺産分割
これらの前提事項が整理できたら、相続人全員による協議によって自由に分割方法を決めます。この協議がまとまれば、遺産分割協議書を作成して遺産分割は終了します。しかし、分割協議がまとまらない場合には、相続人は家庭裁判所に調停の申し立てをしたり、家庭裁判所の審判手続を利用する必要が出てきます。また、前提問題である遺産の範囲等について争いがあれば、審判に先行して遺産確認訴訟等を地方裁判所に提起しなければならない場合もあり、分割が終了するまでに多大な費用と時間がかかるおそれがあります。

~おわりに~
このように、遺産分割には紛争になる可能性がある点が多く含まれており、また、相続税の問題も生じる可能性があることから、相続人間で話がこじれると多大な費用や時間がかかるおそれがあります。そこで、費用・時間のコスト削減のためにも、紛争となるおそれがある場合には、早めに専門家に相談をして適切な対応をすることをお勧め致します。

(文責 小林義和)


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