迫る2024年と求められる対策
- 取材元
- 物流産業新聞社
- 掲載紙面
- 物流Weekly
弁護士村岡つばさの取材記事(迫る2024年と求められる対策)が、2023年2月9日付の物流 Weekly(物流業界向けの専門誌)に掲載されました。
担当弁護士からのコメント
物流 Weekly 様よりお声がけいただき、運送業のいわゆる 2024 年問題の対策についてお話させていただきました。労働基準法の上限規制の問題だけでなく、パワハラ防止法・公益通報者保護法等の近時の法改正や、日本ロジステック社の事案も踏まえたコンプライアンス対策等についてお話しております。
取材記事に関連するよくあるご質問
- Q2024年問題を見据え、運送会社が行うべき対策はありますか?
- A労働基準法の上限規制の問題もあり、これまで以上に労働時間管理が重要になります。
個人的な見通しとしては、①労基署と運輸局の相互通報制度がより活発になる、②①に付随して、行政処分を受ける会社や、残業代の問題が顕在化する会社が非常に増えると予想しております。2024年問題とは少しずれますが、残業代の請求期間の延長(2年→3年→いずれは5年)に伴い、残業代の請求金額はより高額化する傾向にあるため、賃金体系の見直しを含めた対策が急務です。
なお、運送会社様からのご依頼を受け、2024年問題対策や労務管理に関する研修も行っておりますので、もしご興味のある運送会社様がおりましたら、お気軽にご相談ください。 - Q運送業でもコンプライアンスが問題になるのですか?
- A特にここ数年は、運送業においても、コンプライアンスの意識が強くなった印象を受けます。例えば、コメントにも掲載しておりますが、パワハラ防止法改正や公益通報者保護法の改正は、運送業にも影響が出る法改正です。会社規模に関わらずハラスメントの相談窓口等を設置しなければなりませんし、一定の規模以上の会社は、公益通報窓口等も設置する必要があります。日本ロジステック社の民事再生の事案も踏まえると、ハラスメントだけでなく、不正を早期に発見・是正する体制の整備が、運送会社にも求められています。
また、単に会社内部の問題にとどまらず、関連会社や荷主・元請・下請会社間の関係等も問題になるケースが多いです。運送会社の多重構造や、荷主・元請・下請会社のそれぞれのパワーバランス等の問題もあり、下請法の適用が問題になるケースも少なくありません。
「コンプライアンス」というと概念が広いですが、このように、いわゆる法令順守が求められる場面が、運送会社でも多くなったという印象があります。
- Qなぜ運送会社は残業代請求が多いのですか?
- A体感ですが、残業代請求を業種別にみると、運送会社が圧倒的に多いです。なぜ残業代請求を受けやすいか、という点ですが、①そもそも業態的に労働時間が長い、②必然的に一定の手待ち時間が生じてしまう(労働時間につき争いになりやすい)、③定額残業代や歩合給等、法律上論点になりやすい賃金体系を導入している会社が多い、④離職率が高い(それだけ請求を受ける機会が多い・在職中に残業代請求されるケースは極めて少ないです)、といった点が挙げられます。
上記Q&Aでも記載しましたが、残業代の請求期間の延長に伴い、請求される残業代の金額もより高額になりつつあります。会社としても、賃金体系の変更を含めた対応が必須となっています。
- Q運送会社の案件の取り扱いは多いですか?
- A基準がないので何とも言えませんが、多いと自負しております。現状、30社強の運送会社より顧問契約いただいており、日々、運送会社様からのご相談をお受けしている状況です。また、特に運送業の残業代請求の事案については、顧問であるか否かを問わず、多数の対応・解決実績がございます。運行管理者資格を取得している弁護士も在籍しており、より運送業の専門性を高めるべく日々研鑽を積んでおります。