知っておきたい医療機関における近時の労務管理トラブル(柏地区病院事務長会研修)

開催日時:
2017年01月18日
セミナー分類:
企業法務
主催:
柏地区病院事務長会(柏地区病院事務長研修)
講師:
三井 伸容 三井 伸容のプロフィール
開催会場:
クレストホテル柏

知っておきたい医療機関における近時の労務管理トラブル(柏地区病院事務長会研修)

セミナー報告

柏地区の病院の事務長の方々の会合にて、研修講師を担当しました。

特に近時問題となりやすい人事労務トラブルにつき、統計資料やよつば総合法律事務所で使用している書式などを参考にしながら解説しました。

1 医療機関と労働時間管理
⑴医療機関によくある労働時間の問題
ア 医療機関でよくある労働時間の問題トップ5
  ①研修時間
  ②申し送り時間
  ③仮眠時間
  ④夜勤時間
  ⑤主任や師長になった場合の残業代
イ 長時間労働と過労死裁判の実際
ウ 労働時間管理及び残業代支払方法

2 問題職員対応とそのポイント
・指導の重要性と具体的な手法
・退職勧奨のポイント

本セミナーに関連する質問と回答

Q どのような場合は労働時間にあたるのでしょうか?
A 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定) 」は、次のように定めています。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。

そのため、次のアからウのような時間は、労働時間として扱わなければならない。

ア 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間

イ 使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)

ウ 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

ただし、これら以外の時間についても、使用者の指揮命令下に置かれていると評価される時間については労働時間として取り扱う。

関連情報

Q 問題職員がいますがどうすればよいですか?
A 指導を継続し、改善がないようであれば退職勧奨を検討しましょう。

Q 退職勧奨とは何ですか?
A 辞職を勧める使用者の行為、または使用者による合意解約の申し込みとその承諾を勧める行為をいいます。

あくまでも労働者の意思があっての退職を勧める行為であり、労働者の意思がなければ退職には至りません。解雇のように労働者の意思に関係なく退職させる場合とは異なります。

Q 2024年以降、医師の労働環境はどうなりますか?
A 医師への適用が猶予されてきた時間外労働の上限規制が勤務医にも適用されます。具体的には次の通りです。

  • 2024年4月1日から、医業に従事する勤務医の時間外・休日労働時間は、原則として年960時間が上限となります。
  • 医療機関が、地域医療の確保などの必要からやむを得ず、所属する医師にこれを上回る時間外・休日労働を行わせる必要がある場合は、その理由に応じて、都道府県知事から指定を受ける必要があります。

参考リンク