遺産分割が変わる!?~預貯金と遺産分割~

Vol.94
2017年03月号

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目次
「遺産分割が変わる?!~預貯金と遺産分割~」「コラム」他

~ 遺産分割が変わる!?-預貯金と遺産分割 ~

昨年の12月、「預貯金も遺産分割の対象に含まれる」とする最高裁判所の決定が出ました。
この決定は、「預貯金は遺産分割の対象に含まれない」と判断した過去の判例を変更するものであり、実務上、非常に重要な決定です。
今回は、この新しい最高裁決定により、今後、預貯金がどのように相続されることとなるのかというお話をしていきたいと思います。1 想定ケース
次のような、父・息子二人のケース(母は先に死亡)を想定してみましょう。
①父は、1000万円の預貯金だけを残して死亡した(遺言は存在しない・他の遺産はない)。
②息子Aは父と仲が良く、父の生前に1000万円(特別受益)の贈与を受けていた。
③息子Bは父と仲が悪く、何の生前贈与も受けていない(他に特別受益・寄与分等はない)。

2 今までの場合
最高裁決定前は、想定ケースの場合、協議・調停で解決できないと、以下の図のようになります。

 

3 最高裁の決定以降
最高裁の決定が出た後は、想定ケースの場合、以下の図のようになると考えられます。

今回の最高裁決定により、想定ケースのような場合に生じていた不平等な状態は解消されることとなりました。
今後は、遺産分割が完了するまでは、相続人の一人が預金の払戻しをしようとしても、銀行が応じないという取扱いがより厳しくなると思われます(そのような運用をしている銀行は、最高裁決定が出る前の時点で多くありました)。
最高裁の決定が出たばかりで、実務にどのような影響が生じるかはまだわからない状況ですので、お困りの際はお気軽に弁護士にお問い合わせください!

(文責:村岡つばさ)


~コラム・最近のセミナー情報~

当事務所弁護士が講師を務める最近のセミナー情報です。■4月7日「借家関係を解消して不動産を有効活用する方法」セミナー開催
当事務所の弁護士の大澤一郎が16時から17時45分までパレット柏にて「借家関係を解消して不動産を有効活用する方法」セミナー講師をさせていただきます。お問合せ、お申込みは当事務所までお願いします。

■6月16日「家賃滞納と立退き問題への法的対応策」
当事務所の弁護士の川﨑翔が16時から17時45分までパレット柏にて「家賃滞納と立退き問題への法的対応策」セミナー講師をさせていただきます。お問合せ、お申込みは当事務所までお願いします。

■8月以降も2か月に1回のペースで不動産業者様、不動産オーナー様向けセミナーを開催する予定です。
■当事務所のセミナー情報は当事務所の企業法務HPに掲載されています。 (URL:http://www.yotsubasougou.jp/160/index.html)


~冬のおすすめ料理~

寒いです!最近、インターネットのレシピを元にして「白子ポン酢」を妻に頼らずに自分で作れるようになりました!
作り方は意外と簡単です。
ちなみに、白子ポン酢には日本酒などが相性がよさそうですが、実は白ワインも意外と相性がよいと思います。
寒い季節には最高の組み合わせですね。

(大澤一郎)


~東芝事件株主弁護団~

東芝の粉飾被害の回復を求める裁判を当事務所は個人株主の皆様から引き受けて行っています。
既に、年金積立金管理運用独立行政法人(GRIF)も提訴済ですが、三菱UFJ信託銀行、資産管理サービス信託銀行、日本トラスティ・サービス信託銀行も提訴予定との報道がなされています。
平成29年3月~4月には訴訟提起をした方が請求期限との関係で無難です。
詳細は東芝事件株主弁護団サイトをご覧ください。 (URL:http://xn--7rvn38bmne13z.com/)

~ 指導のつもりがパワハラに!? ―パワハラと指導の境界線 ~

部下への指導のつもりがパワハラと訴えられてしまった…こんな話をよく耳にします。
今回は、業務上の指導とパワハラの境界線について話したいと思います。1 パワハラとは?
厚労省の出している提言だと、パワハラは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義されています(※下線筆者)。
「職場内の優位性」とは、職務上の地位だけでなく、人間関係等も含まれるので、上司から部下に対する行為だけでなく、同僚間や、部下から上司に対する行為もパワハラに当たり得ます。
「業務の適正な範囲」かどうかは、業務上の指導かパワハラかが争われた場合だと、客観的に見て、その行為が業務上の指導の目的で行われたものであるか、指導の方法が適正か、という観点で判断されます(ただこの判断は非常に難しく、具体的な事情により異なります。)。

2 具体例
① 基本的には、暴力を伴う行為はパワハラ(=違法性のある行為)と認定されます。
② 暴力を伴わなくても、?直属の上司が部下に対し、「お前は覚えが悪いな」「バカかお前は」などと繰り返し発言した事案や、?他の従業員がいる前で繰り返し「ばかやろう」「三浪して〇〇大に入ったのに、そんなことしかできないのか」などと罵倒した事案などでは、違法性が認められています。人格を否定する発言や、他の従業員がいる前で叱責したケースなどでは、パワハラと認定された事案が多いので、注意が必要です。
③ 長時間労働・無謀な人事(何の配慮もないまま係長に昇格させた)により、既に心身を崩していた部下に対し、上司が約3時間にわたって「こんなこともできない部下はいらない」などと叱責したところ、その翌日に部下が自殺してしまったという事案で、上司の叱責を含む一連の会社の行動が違法な行為にあたるとした裁判例もあります。従業員がうつ病にかかって自殺してしまったような場合、その背景に長時間労働等が存在すると、上司の叱責(指導)を含む一連の会社の行為が違法とされることも多いので、注意が必要です。
④ 「大学を卒業したばかりで、社会経験や就労経験が不十分」であるから、その点も配慮して指導を行うべきという旨の指摘をする裁判例もあり、新入社員に対する指導は、特に注意が必要です。

3 対応策
社内研修等により、従業員一人ひとりの意識付けを行うことが一番重要です。社内でのパワハラ等が発覚した場合には、必要に応じて被害者を休職させる(メンタルヘルスの問題)、職場環境を整える、場合によっては加害者の懲戒等を検討する等、迅速な事後措置が必要です。
何かお困りの際はお気軽に弁護士にお問い合わせください!

(文責:村岡つばさ)


~愛犬が人に怪我をさせてしまったら~

大型犬を飼っている方ですと、もし愛犬が人に怪我をさせてしまったらという心配をされたことがあるかもしれません。
性格は穏やかだし、めったなことでは吠えないし、と安心している愛犬家の方も、万が一の事態に備え、どのような責任を負うのか一度確認してみましょう。民法718条1項
民法718条1項は、動物の占有者等の責任として、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。」と定めています。つまり、愛犬が人に怪我をさせてしまった場合、動物の占有者である飼い主が損害賠償責任を負うことになる旨が規定されています。
ただし、民法718条1項但書は、「ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。」とも定めています。つまり、飼い主が相当の注意をしていた場合、損害賠償責任を負わない旨が規定されています。

相当の注意
では、「動物の種類及び性質に従った相当の注意」をしていたとは、いかなる注意をしていれば認められるのでしょうか。
判例では、通常払うべき程度の注意義務を意味し、異常な事態に対処できる程度の注意義務を課したものではないとされています(最判昭37・2・1民集16-2-143)。
あまり分かりやすい基準とは言えないと思いますので、この基準を具体的事案に即してみると、7歳の子供にはどのような種類の犬をも怖がる者がおり、一般には畏怖感を与えるおそれのない小型愛玩犬であっても、飼い主の手を離れれば、その接近により、子供が自転車の操縦を誤ることも予測できないではなく、鎖を外した飼い主は相当の注意をしたとはいえないとした判例があります(最判昭58・4・1判時1083-83)。
相当の注意をしていたとの主張は犬について問題となることが多いのですが、裁判所は相当の注意をしていたとの主張を容易に認めない傾向にあるようです。

最後に
愛犬が人に怪我をさせるなどという事態は、愛犬家の方にしてみると、想像もできない、想像したくもない事態かもしれません。しかし、何が起こるかはわかりません。今一度、散歩の仕方やリードの破損状況を確認してみるのもいいかもしれません。万が一の事態が発生してしまったら、弁護士までご相談をいただければと思います。

(文責:根來真一郎)


~遺留分について~

生前に自分の財産の処分の自由を有するのと同様に、死後についても遺言によって財産を自由に処分することができます。
その一方で、法律は、残された相続人の生活の保障等のために、遺言による処分の自由を一部制限して、一定範囲の相続人に一定額の財産を取得する権利を保障しています。これが遺留分の制度です。1 遺留分権利者はだれ?
遺留分を請求することができる人(「遺留分権利者」といいます。)は限られています。遺留分権利者は、亡くなった方の兄弟姉妹を除く相続人です。具体的には、配偶者、子・孫…、親(子や孫がいない場合のみです。)が遺留分権利者となります。

2 どれくらいの財産を取得できるの?
遺留分として取得できる金額は、大まかにいうと、
(亡くなった方の財産-負債)×(法定相続分)×(総体的遺留分率)で求められます。
具体的には、亡くなった方の財産(負債分を控除します。)に対して、下のような割合の財産を、遺留分として取得することができます(子や親が複数いる場合には、さらに等分されます。)。

3 遺留分を請求するには?
遺留分を請求することを遺留分減殺請求といいます。遺留分減殺請求は、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内に行わないと、時効によって消滅してしまいます。なので、遺留分減殺請求は、故人がお亡くなりになられてから1年以内にしないといけないと覚えておくといいかと思います。
遺留分減殺請求については、対象となる財産の確定や、期間制限など、請求方法についての細かい決まりがありますので、個別の案件については弁護士などの法律の専門家にご相談ください。

(文責 大友竜亮)


☆★柏周辺おすすめのお店ご紹介★☆

今月号は事務所の歓迎会などでお邪魔させていただいた
柏事務所から徒歩5分以内の美味しいお店をご紹介させていただきます!
柏事務所周辺は素敵なオシャレレストランが多数です!
柏事務所にお立ち寄りの際はぜひ食べに行ってみてください♪★ハナオカフェ 柏店★(柏事務所から徒歩5分)
柏市中央町4-31 TEL:04-7165-0222
小民家風のオシャレな店内が雰囲気を盛り上げてくれるハワイアンカフェです。
ロコモコやタコライスなどハワイの定番料理がとても美味しい♪
そしてなんと言ってもパンケーキです!
卵の味がしっかりしてふわふわでおすすめです。

★トラットリア キッコ★(柏事務所から徒歩3分)
柏市柏3-3-18 AK BLD.7 1F TEL:04-7197-3090
銀座通り商店街にあるイタリアン。
ワインセラーが目を惹きます。
季節の食材を使った前菜・もちもちのパスタ等のコースは目でも楽しめ、味も言わずもがな美味しいです!
事務所で行ったときはランチだったのでワインは飲めませんでしたが、ぜひ夜にお酒も楽しみたいです。

★クィーンベル★(柏事務所から徒歩3分)
柏市柏2-5-19 TEL:04-7166-5884
シックな店内が落ち着くビストロフレンチのお店です。
契約農家から購入されているという野菜をふんだんに使った前菜はどれから食べていいか迷うほど。
メインのお肉もお魚もボリュームがあっても大満足の美味しさです。
デザートプレートも事前予約時にお願いをすると、素敵な盛り合わせにしてくれ事務所の女性陣は大興奮でした♪