相続で争いになった場合の不動産評価

Vol.54
2013年11月号

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目次
「相続で争いになった場合の不動産評価」 他

~相続で争いになった場合の不動産評価~

今回は相続問題において、裁判所で遺産分割調停となった場合の不動産評価の問題についてです。1 不動産の評価の重要性
相続財産のうち、不動産はかなりの額を占めることが多いです。また不動産の評価方法には様々な方法がありますので、どの評価を利用するかによって有利・不利がはっきりと出ますので、弁護士の腕の見せ所です。路線価・時価・固定資産税評価額等という色々な価格がありますし、また、時価の評価も色々な評価方法があります。

2 相手と合意すればいくらでもOK
裁判所での調停手続の場合、裁判所が公平な価格を提案してくれるわけではありません。まずは、裁判所はお互いが合意できる金額はないかという観点から話をしてきます。つまり、合意さえしてしまえば、金額はいくらでもいいのです。不動産を取得したい場合には不動産の評価を低めに主張し、不動産がいらない場合には不動産の評価をできるだけ高めに主張することで有利な立場に立つことができます。裁判所で合意ができると、調書という裁判所の記録に合意内容を記載します。厳密に言うと、この合意内容を覆すことは不可能ではないのですが、事実上一度決めた合意内容を覆すことは難しいでしょう。

3 相手と合意できない場合には・・・。
相手と合意ができない場合には、鑑定という方法を行います。これは、裁判所が選んだ不動産鑑定士が不動産の時価を評価し、その時価の評価に裁判所も各当事者も事実上拘束されるという制度です。鑑定をする場合には、一物件当たり50万円~70万円程度のお金を裁判所に納めないといけません(金額は不動産の具体的な状況や裁判所の運用によって異なります)。この鑑定費用は遺産である預貯金を全員の同意でおろした上で、遺産から支払うことが多いです。

裁判所での遺産分割調停は、不動産の評価をどのようにするかということが1つの重要なポイントです。不動産に詳しい弁護士への相談をお勧めします。

(文責:大澤一郎)


▲[相続] 関連動画をご覧ください


~事務所のセミナー・執筆・取材等のご紹介~

最近の事務所のセミナー・執筆・取材等のご紹介です。☆ 今年12月に当事務所の弁護士の松村茉里が相続に関する書籍を出版します(共著)。
タイトルは「家族で話すHAPPY相続」(週刊住宅新聞社)です。相続アドバイザー協議会の有志での出版です。

☆ 来年に、当事務所の弁護士の川﨑翔が交通事故に関する書籍を出版します。
テーマは交通事故の怪我における素因減額(以前からあった病気を原因とする損害賠償額の調整)についてです。何やら難しいテーマですが、交通事故の裁判ではよく出てくる争点です。川﨑が所属している交通事故の学会の弁護士等と共著の出版です。

☆ 私、大澤一郎が、12月11日に、「これだけは知っておきたい社長のリスク管理セミナー」講師をします。
「株主関連のトラブルを防止する」「相続関連のトラブルを防止する」「債権回収関連のトラブルを防止する」「事件・事故関係のトラブルを防止する」の4項目で、社長が知っておきたいトラブル防止策を解説します。私だけでなく、当事務所の弁護士の前田徹も一部講師を務めます。

☆ 月間ベストファームの特集「士業・新時代の扉を開けるのは誰だ!?」で、私、川﨑翔、前原彩の3人が取材を受けました。交通事故についてはもちろんのこと、他の分野でもとにかく早めの対応が成功の秘訣です。ぜひ、早めの対応が選択肢を増やすということをもっとたくさんの皆様に知っていただきたいと思います。

☆ 事務所の弁護士の小林義和が、税理士登録して税理士会に入会して色々な活動をしています。そのうち、税理士会の勉強会の講師をするかもしれません。

2014年も色々な分野で執筆・セミナーをして、正しい情報・知識をお伝えし、皆様の「万が一」の際の対応を応援できればと思っています。

(文責 大澤 一郎)