相続人が一人もいない?その遺産、どこへ行くの? 知っておきたい「特別縁故者」の仕組み~

Vol.208
2026年09月号

ニュースレターをPDFで見る

目次
「千葉事務所開所10周年『所長今村公治インタビュー」」
「相続コラム『相続人が見つからなくてお困りではないですか!?』」
「法律コラム『相続人が一人もいない?その遺産、どこへ行くの?知っておきたい「特別縁故者」の仕組み~』」
「お勧め書籍の紹介」
「ワインが苦手な人のためのワインの選び方」

千葉事務所開所10周年「所長今村公治インタビュー」

よつば総合法律事務所千葉事務所開設10周年
おかげさまで千葉事務所は今年4月に開設10周年を迎えました。これまで支えてくださった皆さまへ、心より感謝申し上げます。

ニュースレターではこれから数か月間「10周年特別企画」をお届けします!今号では千葉事務所の所長への特別インタビューを掲載。設立当時の裏話や、所長が大切にしている想い、今後の展望などをたっぷり語ります。

10周年を迎えた今、率直にどのようなお気持ちですか?

2016年4月に千葉事務所を開所してから、あっという間の10年間でした。
千葉県を中心とした地域のお客様に支えられ、無事に10周年を迎えることができ、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

開所初日のことで今でもパッと思い出せる光景やエピソードはありますか?

千葉事務所に今では弁護士が11名いますが、開所日には私と粟津の2人だけでした。開所時点では執務室に席がたくさん余っていたのですが、私が寂しいので、あえて粟津の席を私のすぐ隣にしてもらいました。

千葉事務所は「どんな雰囲気や特徴」を持った事務所だと思いますか?

弁護士、スタッフ、それぞれに得意な分野、業務があり、個性豊かなメンバーが集まっている事務所です。開設以来、取扱い分野を少しずつ拡大していき、現在は、企業法務、交通事故、労災、相続、離婚、不動産など幅広く対応しています。千葉事務所には部門責任者が多く所属しており、よりよいリーガルサービスを提供できるよう、日々精進しています。

この10年で、印象に残っている出来事や、嬉しかったエピソードがあれば教えてください。

長期間苦労した案件が解決したときや、新しい弁護士やスタッフが入社してくれたときなど嬉しかったことはたくさんありますが、事件解決時に依頼者様からいただいた感謝の言葉がやはり一番印象に残っています。

普段、相談者の方とお話しする際、所長が「これだけは絶対に大切にしている」というこだわりや約束はありますか?

「自分が相談者様の立場だったらどうするか」という視点で、相談者様の最大の利益を早く得る方法を考えています。相談時には、難しい法律の話ではなく、これから何をすべきか、具体的な行動をご提案できるように心がけています。

10年前の開所当時と比べて、ご自身の中で「変わったところ」と、逆に「ここは絶対に変わらない」という部分はどこですか?

10年分しっかり歳をとったので、焼き肉はカルビ・ロースからタン・ハラミになり、お酒はビールから蒸留酒になりました。
ご依頼いただいた案件に対して、誠実に一件一件解決していく姿勢は10年間変わっていないと思います。

10年間「これだけはずっと愛用している」という仕事の相棒はありますか?

就職祝いで兄からプレゼントされた名刺入れを15年くらい使用しています。毎日触る物なので、使い込んだ野球グローブのように、ものすごく手になじんでいます。ただ、革が傷みすぎて、中の名刺に名刺入れの色が付いてしまうくらい愛用してしまっているので、そろそろ買い換えます。

次の10年に向けて、この事務所をどんな場所にしていきたいですか?

この先も、「よつばに相談してよかった」とお客様に選ばれ続ける事務所でありたいです。また、所員全員がそれぞれの目標を持ちながら、ずっとここで働き続けたいと思えるような居心地のよい場所にしていきたいです。

いつもニュースレターを読んでくださっている皆様へ、一言メッセージをお願いします!

いつもニュースレターを読んでいただき、ありがとうございます!
これからも、皆様が困ったときに一番に頼りにしていただけるような事務所でいられるよう、所員一同、精一杯サポートさせていただきます。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

(文責 弁護士 今村 公治


相続コラム「相続人が見つからなくてお困りではないですか!?」

相続人がいなかったり、見つからなかったりして困っているという相談が弊所にはしばしば寄せられます。今回のニュースレターではそんな相談の解決策をお話させていただきます。

1. なぜ相続人がいなくなるのか?

以下のような場合に相続人がいなかったり、見つからなかったりする状態になります。
① 被相続人が未婚だったり親族が亡くなっていたりしてそもそも法定相続人がいない
② 法定相続人がいたけど全員相続放棄をしてしまった
③ 単純に法定相続人が誰かわからない

2. 相続人がいなくて困るケース

相続人がいなかったり見つからなかったりすると、どのようなことに困ってしまうのでしょうか。

ケース1:貸していた土地を返してもらいたい

建物を建てるために土地を貸していたところ、建物所有者が亡くなってしまった。建物を解体して土地を返してほしいけど誰に請求すればいいのかわからない。

ケース2:抵当権などの担保権を抹消できない

お金を借りるために土地に抵当権をつけたけど、完済して抵当権を抹消する前に抵当権者が亡くなってしまった。このままじゃ土地を売ることができない。

ケース3:貸したお金を返してほしい

貸したお金を返してもらう前に借りた人が亡くなってしまった。不動産を持っていたのでそれを売ってお金を返してほしい。

3. 相続人がいなかったり、見つからなかったりする場合の解決策

方法1:戸籍や住民票の調査

弁護士は職務上請求によって相続人の戸籍や住所を追跡することができます。単に法定相続人が誰かわからないという場合にはこの方法によって解決することもあります。

方法2:法律上の制度の利用

相続人がいなかったり見つからなかったりする場合、以下のような制度を利用すれば解決できます。
例:不在者財産管理人・相続財産清算人・特別代理人・所有者不明土地建物管理制度など
どの制度を利用するのがベストかは事案によりますので、このようなお困り事がある場合にはぜひ弊所までご相談ください。 

(文責 弁護士 加藤 貴紀


法律コラム「相続人が一人もいない?その遺産、どこへ行くの?~知っておきたい「特別縁故者」の仕組み~」

「長年連れ添った事実婚のパートナー」や「親身になって身の回りの世話をしてくれたいとこ」など、現代社会では、家族の在り方が多様化していることにより、法律上の相続人となる人以外が亡くなった方の最期を支えるケースが増えています。

しかし、日本の法律では原則として「法定相続人(配偶者や血族)」でない限り、遺産を受け取ることはできません。

では、家族ではない大切な人に財産を残すことは絶対にできないのでしょうか? ここで知っておきたいのが「特別縁故者(とくべつえんこしゃ)」という制度です。

1. 特別縁故者とは

特別縁故者とは、亡くなった方と親密な関係があった人です。具体的には、3つの類型があります。
① 亡くなった方と生計を同じくしていた人
② 亡くなった人の療養看護に努めた人
③ その他、亡くなった人と特別な縁故があった人

婚姻届を出していない内縁の配偶者、養子縁組を行っていない事実上の養子、いとこなど法的な相続人ではない親戚、老人ホームや医療機関の関係者などの例があります。ただし、単に付き合いがあったという程度では認められず、生前にどれだけ深く関わっていたかという「実質的な貢献度」が厳格に審査されます。

2. なぜこの制度があるのか

もし相続人が誰もいない場合、亡くなった方の遺産は最終的に「国のもの(国庫帰属)」になってしまいます。

しかし、「国に納めるくらいなら、生前に深い絆があった人に分けるほうが亡くなった方の気持ちにかなうはず」と考えることができます。また、縁故者と認められるような親しい関係がある人は、亡くなった方と同居をしていることが多く、そのような方の生活保障を図る必要性があります。

上記のような趣旨から、特別縁故者という制度が設けられました。

3. どのような場合に認められるのか

特別縁故者制度は、国庫に帰属するはずの財産を分ける仕組みであるため、相続人が誰もいないことが大前提になっています。相続人がいないことが確認された後、家庭裁判所が財産の内容・縁故の度合い・生活状況など一切の事情を考慮して、分与をどうするかを決定します。

また、財産は自動的に手に入るわけではなく、自ら家庭裁判所へ「財産分与の申立て」を行う必要があります。さらに、相続人がいないことを確認するための裁判所の手続き(公告期間)が終わってから、「3か月以内」に申し立てる必要があります。

4. 似ているけれど違う「特別寄与料(とくべつきよりょう)」

混同されやすい制度に「特別寄与料」があります。これは、相続人ではない親族が、無償で介護などをした場合に、金銭を請求できるという仕組みです。
上記の特別縁故者との違いは、以下の3点です。

① あくまで親族のみが対象であること
② 不動産等は対象とならず金銭のみが対象であること
③ 相続人がいることが前提の手続きであること

5. まとめ

特別縁故者の制度は、多様化する現代の家族の形に応える大切な救済措置です。しかし、裁判所への申立てには厳格な期限や証明の手間があり、必ず希望通りの財産が分与されるとは限らないのが実情です。

もし「お世話になった大切な人に確実に財産を遺したい」とお考えなら、生前に「遺言書」を作成しておくのが最も確実な対策となります。

遺言書

一方で、すでに大切な方が亡くなり「自分は特別縁故者にあたるかもしれない」「相続人がいるかわからない」とお悩みの方は、あきらめずに、まずはお早めに弁護士などの専門家へご相談ください。

(文責 弁護士 小川 夏菜


― 人生を元気で豊かにするお勧め書籍のご紹介 ― 『盆土産』 三浦哲郎著

今回の「人生を元気で豊かにするお勧めの書籍」は、弁護士米井舜一郎からご紹介します。

1. 父からの手紙

舞台は、東北のとある山あいの村です。父親は東京へ出稼ぎに出ていて、少年と、姉と、祖母の三人で暮らしています。

ある日、東京の父親から速達の郵便が届きます。家族が驚いて開けてみると、そこには短くこう書かれていました。

「盆には帰る。11日の夜行に乗るすけ。土産は、えびフライ。油とソースを買っておけ。」

父親は、正月に帰ってきたとき、今年の盆には帰れないと話していました。だからこそ家族はこの手紙に驚き、喜びました。もっとも、「えびフライ」とは何なのか。山村に暮らす少年たちは、まだ見たことも食べたこともありませんでした。

2. 得意げな父とえびフライ

盆の入りの前日、少年は停留所まで父親を迎えに行きます。父親は真新しいハンチング帽をかぶって帰ってきました。土産の紙袋には白い煙を上げる正体不明の塊が入っていて、少年はドライアイスと知らずつまんで飛び上がりました。

袋の底から現れたのは、大きな冷凍のえびフライでした。「ずんぶ大きかえん? これでも頭は落としてある。」父親は満足そうに言いました。小えびしか知らない少年と姉は、その立派さに目を見張ります。海にはもっと大きなえびもいると父親が珍しく冗談を言い、家族に笑いが広がりました。

3. 初めてのえびフライ

その夜、普段は台所に立たない父親が自らフライを揚げます。揚げたてのえびフライをかむと「しゃおっ」という音が響き、何ともいえない美味しさが口いっぱいに広がりました。

六尾のえびを、少年と姉が2尾ずつ、父親と祖母が一尾ずつ分け合う夕食でした。家族はしみじみとその味を噛みしめます。

けれども父親の休みはわずか1日半でした。停留所まで見送った少年は、「さいなら」と言うつもりが、つい「えんびフライ」と口走ってしまいます。父親は笑って「また買ってくる」と言い残し、バスに乗り込んでいきました。

4. おわりに

「盆土産」は、中学校国語教科書に掲載された小説です。私自身、中学2年生の授業でこの小説を読んだ思い出があります。父と家族の温かなやりとりに、ぜひ触れてみてください。

(文責 弁護士 米井 舜一郎

~第111回 ワインの品種のまとめ~

過去のコラムは当事務所サイトのニュースレターバックナンバーをご覧ください。
当事務所ニューレターバックナンバー

今回は、ワインの品種のまとめです。改めて、品種でワインを選ぶ方法をお伝えします。
■白ワイン編

1. ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)

アルコールのツンとした匂いがあまりせず、ぶどうジュースのようなみずみずしく良い香りがします。価格によらず味が安定しており、ハズレが少ないのが魅力です。

2. シャルドネ(Chardonnay)

栽培される産地の気候や、醸造家(作り手)のテクニック、樽熟成の有無によって、味わいが変化するのが特徴です。寒い地域で作られればスッキリとした味わいに、暖かい地域で作られればトロピカルフルーツのような味わいになります。

3. ガルガーネガ(Garganega)

ソアーヴェなどのワインに使われ、イタリアのテーブルワイン的な存在です。現地ではコーラと混ぜて飲まれることもあり、意外にも相性が良いそうです。

4. コルテーゼ(Cortese)

ガヴィなどのワインに使われ、さっぱりした味わいで飲みやすく、少し高級感のある味が特徴です。

5. トロンテス(Torrontes)

アルゼンチンなどの白ワイン品種です。桃、洋ナシ、青りんご、メロンのような非常にフルーティーな香りと味わいが特徴です。味がしっかりしているため、スパイシーな料理や中華料理との相性が良いです。


■赤ワイン編

1. カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)

「これぞ本格的なワイン」という重厚な味わいを楽しみたい方におすすめのメジャー品種です。コンビニ等で買う場合でも、どっしりとした味わいのものを選ぶと美味しく感じやすいです。

2. メルロー(Merlot)

カベルネ・ソーヴィニヨンに比べて渋みや酸味が穏やかで、口当たりがなめらかです。果実味があり、比較的飲みやすく、親しみやすい味わいが魅力です。

3. マルベック(Malbec)

アルゼンチンなどのワインです。比較的値段が安い傾向がありながらも満足感が高いです。濃厚な果実味があります。「焼肉に合うおすすめの赤ワイン品種」です。

■ワイン選びに悩んだ場合の結論
「南米産のソーヴィニヨン・ブランの白ワインを、凍らない程度にキンキンに冷やして飲む」ことがおすすめです。

チリやアルゼンチンなどのワインは、ヨーロッパ産に比べて安いです。500円から1000円未満のものもたくさんあります。

また、ワインは冷やせば冷やすほどアルコールの匂いが弱まり、ぶどうジュースのような飲みやすさに近づきます。「ちょっと酒臭いな」「アルコール度数が高いな」と感じたら、まずはしっかりと冷やしてみるのが美味しく飲むための最大の秘訣です。

■111回の連載に感謝

本コラムは今回で111回目を迎えることができました。10年弱にわたって連載を継続できたのも皆様の応援のおかげです。

今回で最終回となりますが、また単発コラムでパワーアップした内容をご紹介させていただくことがあるかもしれません。皆様本当にありがとうございました!

(文責 弁護士 大澤 一郎