出張で貯まったポイントやQUOカードは誰のもの?

Vol.201
2026年02月号

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目次
「法律コラム『出張で貯まったポイントやQUOカードは誰のもの?』」
「2025年セミナー報告」
「お勧め書籍の紹介」
「ワインが苦手な人のためのワインの選び方」

出張で貯まったポイントやQUOカードは誰のもの?

出張が多いビジネスパーソンにとって、密かな楽しみといえば「ポイント」や「マイル」ではないでしょうか。自分のクレジットカードで決済したり、飛行機に乗ったりすることで貯まる特典。さらには、最近のビジネスホテルでは「QUOカード付きプラン」といった、出張者の財布に嬉しい特典プランも目立ちます。
千葉事務所所属弁護士小川夏菜

ここでふとした疑問が浮かびます。「会社のお金で出張しているのに、その特典を個人が受け取っていいのだろうか?」

実はこれ、法的には非常に興味深く、かつ実務上は「事前のルール作り」が解決の鍵を握る、デリケートな問題です。

1. 原則は「個人のもの」?それとも「会社の利益」?

法的な視点から整理すると、航空会社やホテルが提供するポイントや特典は、基本的には「サービスを利用した本人」に対して贈与されるものです。マイルの規約を見ても、多くは「会員本人に帰属する」と明記されることがほとんどです。
クレジットカード

そのため、社内規定に何も定めがない場合、これらは「原則として個人のもの」として扱われることが一般的です。

しかし、経営者の視点から見れば、釈然としない部分もあるはずです。例えば、宿泊費の上限が1万円の会社で、社員が「8,000円の素泊まりプラン」ではなく、あえて「2,000円分のQUOカードが付いた1万円のプラン」を選んだとしましょう。

会社としては「本来なら8,000円の経費で済んだはずなのに、社員が実質2,000円のお小遣いを得るために、会社が余分に2,000円を支払わされた」ことになります。これは実質的な「経費の水増し」と言える側面があります。

2. 数百万円単位になると軽視できない問題に発展する

「数百円くらいなら……」と大目に見る風潮もありますが、これが積み重なると深刻な問題に発展します。

実際、2022年には公務員の出張に伴うマイルの取り扱いが改めて議論を呼びました。出張頻度が非常に高い特定の職員が、数百万マイル規模の特典を得ている場合、それはもはや「ささやかな楽しみ」の域を超え、「不当な利益を得ているのではないか」という批判の対象になります。

民間企業でも、営業担当者がマイルを貯めるためにあえて割高な航空券を予約したり、特定の航空会社に固執して非効率なルートを選んだりする事態になれば、会社に実害が生じます。

3. 社内規定による解決 ~「あやふや」を「ルール」へ~

この問題を放置すると、出張のない部署との不公平感を生み、組織の士気を下げる原因にもなります。トラブルを防ぐためには、提示された資料に基づき、以下のような明確な運用ルールを定めることが重要です。

  • 会社による直接管理・手配
    会社側で航空券やホテルを一括手配することで、個人のポイント取得を物理的に防ぎ、マイルによる経費節減を図る方法です。
  • 取得マイルの報告義務化
    個人のクレジットカード決済を認める場合でも、付与されたマイルの報告を義務付け、次回の出張費に充当させるなどの運用です。
  • 「私的利用の禁止」の明文化
    就業規則や旅費規定で「出張に伴う特典の私的利用」を明確に禁止します。ルールを周知しておくことで、違反者に対して「差額の返還請求」などの適切な対処が可能になります。
  • 一定範囲の容認(福利厚生)
    「宿泊費上限の範囲内であれば、マイルの取得を認める。ただし、QUOカード等の現金性の高い特典付きプランは禁止する」といった、現実的な折衷案を定めることも有効です。

なお、実際にルールを定める際には、法律や税務・会計上の処理として問題がないか、それぞれの分野の専門家にも相談しておくようにしてください。

4. まとめ:将来のトラブルを防ぐために

出張特典の問題は、金額の多寡よりも「会社のお金で個人的な利益を得る」ことへの透明性の欠如が問題となります。

これまでは黙認されてきた慣習であっても、今後厳格に運用したい場合は、「今後は処分の対象となり得ること」を社内に周知し、将来的な発生を防止する措置を講じることが適切です。
海外出張

まずは現在の旅費規定に、これらの特典に関する一文が含まれているか確認してみてください。

(文責 弁護士 小川 夏菜


2025年セミナー報告

昨年、弁護士が講師を勤めたセミナーを一部ですがご報告いたします。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

1月9日開催『暮らしの中の法律について学ぶ

講師:小林 義和

2月5日開催『行政機関における個人情報の取扱い(自治体様向け)

講師:加藤 貴紀

2月18日開催『賃貸オーナー様のためのトラブル予防

講師:小林 義和

4月15日開催『弁護士による問題社員対応・労務管理セミナー(商工会議所様向け)

講師:村岡 つばさ米井舜一郎

7月31日開催『生成AI活用の落とし穴:企業が知っておくべき法的リスクと対応策

講師:辻 悠祐

8月29日開催『保険代理店が知っておくべき!自転車・電動キックボード事故の「もしも」に備える新常識

講師:前田 徹

10月23日開催『弁護士が教える!ハラスメント防止と労務管理のポイント

講師:今村 公治小川 夏菜

11月21日開催『『ヒト』と『技術』の新しい秩序~取適法とAI法規制が拓く未来のビジネス~

講師:辻 悠祐小川 夏菜

12月11日開催『交通事故事例解決セミナー2025

講師:米井舜一郎杉山 賢伸

12月13日開催『所有者不明土地建物管理制度の概要と活用

講師:川田 啓介

【よつば公式サイト セミナーページのご紹介】
開催予定のセミナー終了したセミナー報告を随時更新しています。
気になるものがございましたらぜひ一度ご覧ください。


― 人生を元気で豊かにするお勧め書籍のご紹介 ― 『ここは今から倫理です。』 雨瀬シオリ 著

みなさんは「倫理」と聞いてどんなイメージを持つでしょうか?
「哲学?みたいな?」「高校の選択授業であった気がする」「なんか難しそう」

本作は、高校を舞台に、なんとなく倫理を選択した生徒と、担当する高柳先生の人間模様を描いた漫画です。ジャンルとしては学園漫画といえるでしょう。

昨年完結したばかりで、全10巻と読みやすいボリュームです。

先生なのに解決しない。ただ、「対話」する。

学校の先生が主人公のマンガ・ドラマといえば、『3年B組金八先生』『ごくせん』『GTO』など名作がたくさんあります。どれも共通しているのは、学校や生徒の問題をズバッと解決するところだと思います。

本作がこれらと大きく異なる点は、「先生は何も解決しない」というところです。

高柳先生がするのは「対話」です。問題や悩みを抱える生徒と徹底的に対話をします。対話を通して、生徒が解決に向けたヒントに気づく。それだけなのです。

対話の中には必ず、哲学者が残した言葉が出てきます。でもそれは、「あなたもそうしてみるのがよい」ということではなく、「そういう考えもあります。あなたはどうでしょうか。」という紹介にとどまります。この距離感が心地よく、でも確実に心に届く内容となっています。

高柳先生

本作の主人公ですが、これまた今までの先生キャラと異なり、驚くほどクールでドライな、愛煙家の一面も持つ先生です。授業は淡々と進めるため、眠たくなってしまうタイプの先生です。

しかし、生徒の話には耳を傾け、ゆっくりと応えてくれます。ミステリアスですが、読み進めるうちに、先生の信念が見え隠れし、どんどん惹き込まれていきます。

高柳先生にも、大学時代の恩師がいます。哲学科の教授なのですが、この恩師との対話から高柳先生のルーツを知ることができます。

倫理も哲学も知らなくて大丈夫

この漫画を読むために、倫理や哲学の知識は必要ありません。高柳先生が淡々と教えてくれます。

授業シーンそのものがストーリーの主軸として描かれているのも、学園漫画としては珍しいのではないでしょうか。

読むだけで哲学や倫理の考え方を知ることができ、生きるヒントを見つけることができます。まさに「人生を元気で豊かにするお勧め書籍」です。

基本的に1話完結で、1話ごとにそれぞれの生徒とのストーリーが展開されます。

読む人によって、心に残るストーリーが違うと思います。ぜひ、お気に入りの1話を見つけてみてください。 

(文責 弁護士 杉山 賢伸


~第104回 混ぜるだけの簡単なおつまみ~

過去のコラムは当事務所サイトのニュースレターバックナンバーをご覧ください。
当事務所ニューレターバックナンバー

大澤が実際に自分で作っている、混ぜるだけの簡単なおつまみのご紹介です。

1. ネギトロとしらす

ネギトロ、しらす、たまごを混ぜるだけです。その他、ごま油、ねぎ、のり、わさび、醤油などをお好みで加えてもおいしいです。ネギトロは、どのスーパーで買ったものでも大丈夫です。

2. オイルサーディンとねぎ

オイルサーディンにねぎをかけて、オーブンやトースターで温めます。私の父も食べていたレシピです。

白ワイン、赤ワイン、スパークリングワインの全てと相性がよいです。

3. 宮のたれ

元々ステーキのたれですが、何にかけてもおいしいです。焼肉・野菜などなんでもあいます。1回パックは150円~200円程度が多いです。

宮のたれは味がしっかりしていますので、赤ワインと相性がよいです。

(文責 弁護士 大澤 一郎