武富士の会社更生法適用申請について

Vol.17
2010年10月号

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目次
「武富士の会社更生法適用申請について」
「スタッフ紹介「吉野・新山」」

武富士の会社更生法適用申請について

武富士が会社更生法の適用を申請しました。皆様の日々の業務に活かせそうなポイントを解説します。
第1 武富士の会社更生法申請について
平成22年9月28日、大手消費者金融の武富士が会社更生法の適用を申請しました。会社更生法は債権者の債権額を法律の規定によりカットした上で事業を再生していくための手続きで、大規模な会社・大型倒産事件の際に使われる方法です。中小企業の場合には、民事再生法・会社法上の事業譲渡・別会社の設立等の方法により事業再生を図ることが可能な場合があります。
第2 売掛金の管理の重要性
今回の会社更生手続きが今後どのように進んでいくかわかりませんが、武富士に対して債権を有する債権者への配当比率は3%~5%の間になるのではないかという推測がなされています。95%以上の権利がカットされてしまい、債権者・取引先にとっては大打撃です。このような状況をできるだけ未然に防ぐためには、売掛金の管理をきちんと行い、相手が支払いをしない場合には早めに請求書の再送・内容証明郵便の郵送・裁判の提起等の措置をとるべきです。実際、武富士はここ1年位、過払い金返還請求の裁判を大量に起こされていました。判決が出た場合には正規の請求金額を支払うということを武富士は続けていました。このように裁判を起こし判決まで至れば支払いをきちんとする会社も多いです。(いつかは倒産してしまうかもしれませんが。)
第3 他社への過払い金返還請求について
消費者金融は多かれ少なかれ同様の問題を抱えています。過払い金返還請求の権利があるにもかかわらずそのまま放置しておくと、相手の消費者金融が倒産すればほとんど返金を受けることはできません。実際、他にも大手の消費者金融が倒産する可能性があるかもしれないという話が最近よくでています。
第3 倒産リスクへの対処
取引先がいつ倒産するか確実なことはわかりません。しかしながら、せっかくの権利があるにもかかわらず相手の倒産によって権利がなくなってしまうというのはもったいないことです。早めの対応が肝心です。

(執筆・大澤一郎)