執行法改正により、 強制執行がしやすくなりました

①これまでの財産開示手続き

財産開示手続きとは、債務者を裁判所に出頭させ、どのような財産をもっているかについて開示させる手続きで、これまでも制度としてはありました。しかし、正当な理由なく出頭しなかった場合等の罰則が、30万円以下の過料と軽かったこともあり、実効性に乏しく、あまり利用されていませんでした（年間1,000件程度です。）。

②改正した財産開示手続き

今回の改正により、罰則が６カ月以下の懲役または50万円以下の罰金（刑事罰）になりました。厳罰化されたため、以前よりも効果が期待できるようになると思います。

①預貯金等の情報取得

銀行等から、どの支店に口座を持っているのか、口座を有している場合にはその残額についてまで、情報を取得できるようになりました。これにより、具体的に存在する預貯金債権に関する情報を参考にしたうえで、差押を申し立てることができるようになりました。

②不動産の情報取得

前述した財産開示手続きを行った場合には、登記所から、債務者が所有する土地・不動産の所在等の情報が取得できるようになりました。不動産は、一般的に価値が高いので、債権回収の原資としては重要な財産となります。

なお、不動産の情報取得手続きについては、登記所における情報システムの改修等の関係から、改正法の公布の日（令和元年5月17日）から２年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、適用されないとされています（附則５条）。

③勤務先に関する情報取得

前述した財産開示手続を行ったが目的が達成できない場合、養育費債権や生命身体の侵害による損害賠償請求権を有する者は、市町村や日本国民年金機構等から、債務者の勤務先に関する情報を取得することができるようになりました。勤務先が分かれば、給与債権に強制執行をかけることが可能になります。

１　相続放棄できる期間は短いので早めに準備する

先ほど説明したとおり、相続放棄は、原則として、相続の開始があったことを知った時から３か月以内にする必要があります。通常、ご家族が亡くなられた直後は、葬儀の手続や各所への連絡など忙しいうえに、亡くなられた方の財産状況を短期間で正確に把握するのは困難なこともあり、あっという間に放棄の期間を過ぎてしまう可能性があります。借金の存在が疑われる場合は、なるべく早く専門家にご相談ください。

２　相続放棄を検討している場合は亡くなられた方の財産を処分しないでください

相続人の方が、亡くなられた方の財産を処分してしまった場合、相続放棄ができなくなる可能性があります。何が相続財産と評価されるかは微妙な点もありますが、困った場合は専門家にご相談ください。

３　相続放棄によって次順位者が相続人となる場合は連絡を入れてあげる

相続放棄の効果は初めから相続人とならなかったものとみなすというものなので、子や配偶者が全員相続放棄すると、次順位者の直系尊属者や兄弟姉妹の方が相続人となる可能性があります。相続放棄した場合は、次順位者に亡くなられた方の財産状況や相続放棄によって次順位者が相続人となる可能性があることをお知らせしてあげた方が親切です。

４　まとめ

相続放棄の手続には上記以外にも注意すべき点が何点かあります。ご自身で相続放棄することに不安があるという方は、ぜひご相談いただければと思います。