「電話当番」と「休憩時間」

Vol.100
2017年09月号

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目次
「電話当番」と「休憩時間」
「相続財産が分からない」
「残業代等が発生する場合とは?」「セミナー情報」
「ワインが苦手な人のためのワインの選び方」 他

~「電話当番」と「休憩時間」~

午前中の仕事も一段落し、「やっとお昼休み。さぁ、みんなでランチに出かけよう!」と思ったら、「今日のお昼休みは電話当番だった!」なんて経験をされたことのある方もいらっしゃるかもしれません。しかも、今日に限って電話が鳴りやまず、「これでは休憩になんてならないよ・・・。」なんてことも。
では、電話当番を担当している場合のお昼休みは、休憩時間と認められるのでしょうか。そもそも、休憩時間について、法律はどのような規制をしているのか確認してみましょう。

休憩時間自由利用の原則

休憩時間について定める労働基準法34条1項は、「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」と定めています。そして、休憩時間の利用の仕方について定める労働基準法34条3項は、「使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。」と定めています。
休憩時間とは、労働者が労働時間の途中において休息のために労働から完全に解放されることを保障されている時間とされています。労働基準法34条3項は、休憩時間中の労働からの解放を全うさせるために、使用者に対し休憩時間中の労働者の行動に制約を加えることを禁止した規定です。よって、休憩時間の利用の仕方は、原則として労働者の自由となります。

電話当番について

では、電話当番を担当している場合の昼休みは、休憩時間として認められるのでしょうか。
電話当番を担当している場合、電話があった場合に直ちに対応することが要求されています。すると、作業上の指揮監督下に置かれている時間と考えられ、労働から完全に解放されることを保障されている時間とは認められません。
よって、原則として休憩時間を付与したとは認められない可能性が高いでしょう。 以上が法律上の「原則」です。
最後に大切なこと
「法律・法律・法律!」では円満に仕事を進めていくことはできません。
法律を十分に理解しつつも、信頼関係と常識を元にして円滑に職務を進めていくことが大切です。
特に、労働法の分野では解釈に色々な見解がありますので、一層信頼関係と常識を元にして職務を進めることが必要だと考えています。

(文責:根來真一郎)


~相続財産が分からない…~

「相続が発生したけど、被相続人がどんな財産を持っていたかがわからない」…相続のご相談で、こういったお悩みを耳にすることがあります。今回は、被相続人(亡くなった方)がどのような財産を保有していたかを調べる方法を、簡単に解説します。紙面の都合上、問題になることの多い、預金、不動産の調べ方を記載します。

1.預金の調べ方

被相続人の家に、預金通帳、キャッシュカード等があれば、その銀行等の窓口に問い合わせることにより、預金残高を調べることができます。
通帳、キャッシュカード等がなく、口座の手がかりが全くない場合には、預金口座がありそうな各金融機関に手あたり次第確認する必要があります。相続人であれば、通帳等を持っていなくとも、口座の有無の確認、残高を教えてもらえます(身分証明書、戸籍等が必要です。事前に金融機関に必要書類を確認してください)。

2.不動産の調べ方

まず、被相続人の家から、不動産の権利書(登記済権利書)や課税明細書、納税通知書といった書類が見つかった場合には、これらの書面に記載されている土地の地番、建物の家屋番号を記載し、登記簿謄本を取り寄せることで、権利状態を確認することができます。
他方、こういった書面が発見できず、不動産の手がかりがない場合には、被相続人の不動産を保有していそうな市町村の役場に行き、不動産の「名寄帳」というものを取り寄せることで、その市町村にある被相続人の不動産を調べることができます。ただし、当該市町村以外に存在する不動産については、名寄帳からは判明しないため、ある程度不動産の所在地に当たりがつけられないと、不動産を調査することは非常に困難といえます。

3.債務の調べ方(おまけ)

おまけとして、債務(借金)の調べ方も軽く説明します。個人間での貸し借りや、取引上の債務は、何らかの手がかりがないと調べることはできません。他方、金融機関(銀行、消費者金融等)からの債務については、信用情報機関という機関に問い合わせることにより、債務の有無、その金額を調べることができます。信用情報機関は、KSC、CIC、JICCの3つがあり、この3つの機関全部に問い合わせをすれば、金融機関の債務を把握することが可能です。
以上、非常に簡単にではありますが、相続財産の調査の方法を説明させていただきました。財産の調査に限らず、相続でお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください!

(文責:村岡つばさ)


~残業代等が発生する場合とは?~

最近、長時間労働が問題となるニュースをよく耳にするようになりました。長時間労働が行われる場合には、残業代等が発生している可能性があります。どのような場合に残業代等が発生するかどうかについては、労働者及び使用者の方は把握しておくことが大切です。今回は、どのような場合に残業代等が発生するか、簡単にご紹介します。

1.管理監督者に該当しないこと

「管理監督者」に該当すると、深夜労働に対する割増賃金(後で詳述します)を除き、残業代を請求することができません。この「管理監督者」に該当するかは、次の要素で判断されます。

  1. 責任や権限ある立場か否か(あると管理監督者に寄ります)
  2. 出退勤の自由が認められているか(認められていると管理監督者に寄ります)
  3. 役職があるか、役職手当が支給されているか(あると管理監督者に寄ります)
  • 役職がある方でも、役職手当が支給されていないと管理監督者には当たりません。

2.残業代などの時間外手当の対象となる労働があるか?

時間外手当の対象となる労働には、①時間外労働、②休日労働、③深夜労働があります。労働者が①~③の労働を行っていれば、勤務先に対し時間外手当の請求が認められます。

① 時間外労働
「1日に8時間を超えた時間」と「1週間に40時間を超えた時間」のいずれかの基準を満たす時間をいいます。
② 休日労働
法律上、週1日以上の休日を設けなければならないとされています(法定休日といいます)。休日労働とは、法定休日における労働のことをいいます。
③ 深夜労働
深夜労働とは、22時から翌朝5時までに行った労働を指します。残業で深夜労働を行った場合には、残業代とは別に割増賃金を請求することが認められます。

3.おわりに

ここでは残業代等が発生する場合をごくごく簡単にご説明しました。もっとも、実際に残業代等のトラブルが発生した場合には、労働時間の証拠があるかどうかや、実際支払われている給与の中に、残業代が含まれているといえるかどうか(固定残業代制がとられているか)等が大きく影響してきます。労働者の方も使用者の方も、疑問や不安がある場合には、一度専門家に相談して早めに対策をとると良いと思います。

(文責:大友竜亮)


★セミナー情報★ 最近のセミナーのご報告です。

保険代理店様向け

2017年7月6日 講師:弁護士 前田 徹
『その説明で本当に大丈夫!?弁護士が教える過失割合の実務』
保険代理店業者様に向けた交通事故の過失割合の実務についてのセミナーでした。過失割合の基本的なルールから、事実認定におけるポイント、具体例など、弁護士しか知らない情報も交えながらお話させていただきました。

不動産業者様向け

2017年8月7日 講師:弁護士 佐藤 寿康、加藤 貴紀
『知らないと損する不動産売買・賃貸における重要事項説明の実務』
不動産業者様に向けた不動産売買・賃貸における重要事項についてのセミナーでした。前半には眺望・騒音・悪臭・土壌など不動産売買・賃貸で重要となる事項のご説明をいたしました。後半では自殺等があった不動産の扱いに関する裁判例などをお話させていただきました。イレギュラーなことかもしれませんが大変重要な事項になります。

<<今後のセミナー開催予定>>

保険代理店様向け 2017年10月12日(木)場所:パレット柏 企業様向け 2017年10月17日(火)場所:パレット柏 不動産会社様向け 2017年10月23日(月)場所:パレット柏
当事務所では定期的に弁護士によるセミナーを開催致しております。
気になるセミナーがありましたらお気軽にお問い合わせください。
セミナーの最新情報は下記HPにも掲載中です!
よつば総合法律事務所 企業法務サイト http://www.yotsubasougou.jp/

所長弁護士大澤一郎の「ワインが苦手な人のためのワインの選び方」

ニュースレター100号を記念して、今回から新コラム「ワインが苦手の人のためのワインの選び方」を新連載します。 ワインの味が好きになれない、ワインが悪酔いするという方、ぜひ覚えておいてください。以下の3つの条件を満たす白ワインであれば、ほぼ間違いなくおいしいはずです。値段も500円~1000円未満でおいしいものがたくさんあります。

★ 条件① ぶどうの品種はソービニヨンブラン

いきなり難しいことを言わないで欲しい、と思わないでください。ワインのラベルや商品説明のポップにぶどうの品種は書いてありますので安心してください。ぶどうジュースのようなみずみずしい味がするメジャーな品種です。

★ 条件② とにかく冷やす

ワインには推奨されている温度があります。白ワインは○度、赤ワインは○度などといった具合です。しかし、とにかく冷やせば、アルコールのようなにおいが弱くなります。凍らない程度にきんきんに冷凍庫で冷やしてもOKです。

★ 条件③ 南米大陸のものを選ぶ

南米大陸(チリ、アルゼンチンなど)のワインはヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドなどのワインに比べて安いです。
ソービニヨンブラン、とにかく冷やす、南米大陸という3つの条件を満たすワインで、ぜひワインが苦手な人もワインを選んでください。必ずおいしいと感じていただけるはずです。(本当にワインに詳しい方からすれば自分の方がもっとよいアドバイスができると思われるかもしれませんがご容赦ください。)

(文責:ワインエキスパート 大澤一郎)

【今月の白ワインのコーナー】

柏駅のビックカメラで購入したワインです。478円です。まさに、上記の条件を全て満たしたワイン! 日本対オーストラリアのサッカーを見ながらおいしくいただきました。
◆ビカール デル・スール ソーヴィニヨン・ブラン
価格 478円(税抜)(8月31日の価格)


10周年ありがとうございます

本ニュースレターは今回で100号となりました。
当事務所は、2008年4月に私大澤一郎1人で開業をしました。当時は弁護士1人・事務スタッフ0人のスタートでした。
皆様にご支援いただき、もうすぐ10年です。ニュースレターも100号となりました。(過去のニュースレターは「企業法務 よつば ニュースレター」で検索してみてください。)
開業当時30歳だった私は今年9月6日で40歳となりました。
皆様本当にありがとうございます。今後、10年、20年、30年と事務所を維持発展させ、100年続く法律事務所を目指していきたいと考えています。今後も皆様のご指導よろしくお願いいたします。