農地転用

Vol.78
2015年11月号

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目次
「農地転用」  コラム「弁護士の川﨑翔の交通事故Q&A」

~農地転用~

かつての農地法1条は、「その耕作者みずからが所有することが最も適当であると認めて」と、農地の所有者が実際に農業を行うのが望ましいと考えていました。農地改革が行われたときの考え方ですね。ところが、平成21年に改正された農地法1条では、「農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進」することとしており、効率的な利用を促進する方向へと考え方が根本的にシフトしたことが条文自体から示されています。

とはいえ、この改正は、農地の転用を促進するものではありません(農地法1条には「農地を農地以外のものにすることを規制するとともに」という文言もあります。)。ですが、少なくとも遊休農地や耕作放棄地については、土地は効率的に利用するのが望ましいのはたしかですから、その転用の途を探ってもよさそうに思います。

1 許可基準はあるの?

市街化区域外の農地の場合、農用地は原則駄目とか甲種農地は原則駄目とか乙種農地はさらに3種類に分かれてとかの一応の基準はありますが、行政の裁量が大きいです。

ですから、正式に転用許可申請を行う前に行政との協議・交渉を行うことが不可欠です。
一方、市街化区域内の農地であれば、届出をすれば転用できます。

2 どんな使い方だと許可されやすいの?

農産物販売所や農家レストランといった、農業を行っている人が生産したものを扱う施設ですと、規制の最も厳しい農用地でも許可されています。

バイオマス発電施設、風力発電施設は、場合によっては許可していこうという動きが行政の中にみられます。農業を行う一方、地面に支柱を立ててその上に太陽光発電設備を設置するのは、農地一時転用として許可されることになっています(平成25年3月31日付農林水産省通知)。

宅地化してマンションを建築して分譲しようとか、工場を建築しようとかいうことですと、その農地の立地の状況(主要駅に近いかとか、市街化区域に接しているかなど)が絡んできます。行政との事前協議は必須です。

遊休農地や耕作放棄地は、安価に購入または賃借できることもあります。とはいえ、売買や賃貸借の契約書は、転用が許可されなかった場合に備えた内容にする必要があります。

(文責 佐藤寿康)


~弁護士 川﨑 翔の交通事故Q&A!~

★ニュースレター第78号では、当事務所の交通事故部門責任者である弁護士 川﨑翔が交通事故事件についてお話いたします!Q:交通事故事件(被害者側)を扱うようになったきっかけはなんですか?

A:弁護士になって初めて扱った事件がきっかけです。高次脳機能障害を負った若い方の事件だったのですが、私が交渉して賠償額が約2200万円も増加しました。当初、保険会社が被害者に提示していた金額の4倍で示談したことになり、唖然としました。
思わず相手方保険会社の担当者に「あまりに少ない賠償額の提示であって、ひどいと思います」と言ってしまいました。その時「保険会社の対応としては普通です」と言われ、適正な賠償がなされていない被害者を救いたいと思ったのがきっかけです。
また、家族に医療関係者が多く、医療に関する資料や知識の習得が苦でなかったというのもありますね(父と弟が医師、母がカウンセラー、叔父が歯科医、伯母が看護師です。)。

Q:医療知識習得のためにどのようなことに気をつけていますか?

A:交通事故チームを編成し、事務所全体で案件の情報を共有しています。
また、月に数回、事務所の協力医との症例検討会を開催し、実際のMRI画像等を見てもらいながら案件の検討をしています。

Q:交通事故事件における事務所の特徴はどんなことですか?

A:まず、治療中(症状固定前)からの相談・受任をしていることだと思います。治療や必要な検査のアドバイスを含め、適正な後遺障害等級が認定されるようサポートしています。
専門家との連携がとれている点も特徴だと思います。事務所の協力医に意見を求めたり、画像鑑定をお願いできる放射線科医もいらっしゃいます。最近は整形外科の先生から事件の紹介を受けることが増えてきました。事故態様や衝突形態の立証に関しては、専門のリサーチ会社と連携することもあります。
また、弁護士や整形外科医、保険代理店向けに交通事故賠償についての講演もおこなっています。交通事故に関わる人が正しい知識をもっていれば、被害者救済につながると考え、活動を続けています。