解雇通知1枚で三千万円の支払い!!!

Vol.46
2013年03月号

ニュースレターをPDFで見る

目次
「解雇通知1枚で三千万円の支払い!!!」
「HP用写真撮影会の模様」

解雇通知1枚で三千万円の支払い!!!

元幕内力士蒼国来が日本相撲協会に解雇の無効を求める裁判を起こし、平成25年3月に解雇の無効を認める東京地方裁判所の判決が出ました。解雇の無効の判決が出るとどうなるかというと・・・。普通の会社では一回でつぶれてしまうほどの金額を支払うこととなります。(以下の事実関係は報道やネット上の情報によりますので事実関係が少し異なるかもしれませんがご了承下さい。)

・蒼国来の解雇前の月給 120万9000円(幕内力士の月給)
・解雇から判決までの月数 約2年(24ヶ月)
・解雇無効の判決により認められる額 120万9000円×24ヶ月=2901万6000万円
・蒼国来が幕内力士にあることの確認も併せて裁判所でなされて、角界に復帰する。

解雇通知1枚で3000万円を相撲協会は支払うことになりました。普通の会社では1回でつぶれてしまう金額です。(現時点では判決未確定です。)

ここまで金額が極端な事例は少ないかもしれませんが、解雇をするということは常に危険と隣り合わせです。解雇後の2年分の給与を働いてもいない従業員に支払い、かつ、その従業員が職場に2年後に復帰するという結果になるのです。
解雇できる場合というのは経営者の皆様が考えているよりも極めて限られた場合です。
従業員の横領や、従業員の長期間の無断欠勤の場合には、比較的簡単に解雇が有効と認められることが多いです。
他方、従業員の能力不足や、証拠はないけれど会社にとって望ましくない行為をしている可能性がある、業績が悪化しているので従業員を減らしたい、というような場合には、解雇が無効となってしまうことがあります。
解雇は原則しない、解雇をする場合には専門家に相談してからする、ということを徹底しましょう。解雇通知1枚で会社経営がめちゃくちゃになってしまうことだけは避けたいものです。(なお、既に解雇をして争いとなっている場合には、なるべく早くトラブルを話し合いで終わらせる必要があります。)

(文責 大澤一郎)