債権回収の確立を高める方法

Vol.28
2011年09月号

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目次
「債権回収の確立を高める方法」
「当事務所の社員採用ポイントについて」

ニュースレター9月号は、「債権回収」です。債権回収の確率を高める方法をお伝えします。

1 1日でも遅れたら督促の電話をすぐにすること金融機関などでは、少しでも支払が遅れるとすぐに督促の電話をしたり手紙を送付します。これは、経験上、きちんと請求をするという姿勢をすぐに示す方が回収率が高いということを知っているからでしょう。中には、お金はあるが単に支払期日を忘れているという人もいます。そのような人の場合には、電話をすぐにするだけで解決することもあります。また、たくさんの支払をしなくてはならない状況の人であったとしても、督促の電話がすぐにくる相手に対しては優先的に支払をする可能性があります。基本はとにかく督促をすぐにするということです。

2 支払期限を短めに設定すること

残念ながら、支払期限を過ぎて督促をしても、「今は支払ができないので少し待って欲しい」と言われることがあると思います。このような場合でも、1ヶ月というような長期間は待たず、1週間とか10日とかなるべく短い期限を設定することが重要です。相手に期限を言わせて、言ったことに責任を持たせることにより、支払がされることもあります。

3 弁護士名での請求書を早期に発送すること

最近成功率が高い方法は、顧問契約をしていただいている方限定となってしまいますが、支払が滞った段階ですぐに弁護士名での請求書(内容証明郵便)を送るという方法です。まだ相手に少しはお金があり「督促が厳しいところから支払おう」と考えている場合、弁護士名での請求書が届き、裁判・差押えも考えているという内容の記載をすると、先に支払がされることもあります。

4 ある程度譲歩することも必要であること

相手に全く差押可能な財産がないような場合には、ある程度の譲歩をする必要があります。分割払いに応じたり、一括払いである程度支払ってくれれば残部を免除するというような方法です。交渉は相手があって初めて成り立つものですので、ある程度の譲歩も必要かもしれません。

5 預金口座・不動産・売掛金等の情報を得ること

やりとりの中で、相手の財産を把握することが重要です。預金口座については銀行名・支店名までの情報が差押えには必要です(平成23年9月22日に最高裁判所で銀行名のみではなく支店名までの特定が差押えのためには原則必要な旨決定されました)。売掛金については、取引先の名称・契約の種類・代金額・支払時期等の情報が必要です。不動産については住所が必要です。

6 連帯保証人や担保を追加でとること

分割払いや支払の延長に応じる条件として、連帯保証人や担保を要求するという交渉をすることで、より支払を確実にさせることができるようになることがあります。

弁護士へのご相談の際には、既に回収が難しくなってしまっている債権回収の事案も残念ながら多いです。早くたくさん行動することにより債権回収を図りたいものです。

(文責 大澤一郎)


当事務所の社員採用ポイントについて

ニュースレター9月号では社員採用のポイントについてです。私たちの事務所でも年に数回社員の採用を行っていますが、その中でルール化したことをお伝えします。私たちが行っていることであり、必ずしも全ての皆様に当てはまるとは限りませんが、何かの参考になればと思います。1 母集団を多くすること

採用はある意味確率論です。たくさんの人とあえば、いい方を採用できる確率が高まります。募集のツールは色々あると思いますが、とにかくたくさんの応募があるようなツールを使うことがよいでしょう。

2 面接の質問の基本

新卒・中途等で色々な違いはあると思いますが、一般に面接で聞くべきとされている質問は以下の3つです。

(1)志望動機

(2)当社でやりたいこと

(3)過去の実績・学生時代に頑張ったこと

奇抜な質問も悪くはありませんが、普通のオーソドックスな質問を深く掘り下げていった方が良い面接ができるような印象を受けています。

3 面接はお互いがお互いを選んでいるという意識を持つこと

面接は、会社が応募者を選んでいるだけではありません。逆に、優秀な応募者ほど複数の企業の内定を取ることができるので、応募者が会社を選んでいるという側面もあります。

4 中途採用の場合には退社理由をよく聞くこと

中途採用の場合、なぜ前職を辞めたのかということをよく聞くことが必要です。その説明内容が合理的であるかどうか、納得できる退社理由であるかどうか等を聞くことが採用の判断にあたって役に立ちます。本人のストレス耐性や協調性等がわかることもあります。

5 適性検査の実施

適性検査(マークシート式の検査)を行うことにより、基本的な能力や性格を把握することが可能となります。ある程度採用の可能性がある場合には、適性検査の実施をすることもよいかと思います。

6 社長や責任者など、なるべく上位の人が面接を行うこと

面接を人任せにしておいて、後で「なんであんな人を採用したんだ」といっても何も解決しません。面接は社長や責任者など、なるべく上位の人が行った方が経験上よいと思います。

私自身は法律のプロではありますが、人事の専門家というわけではありません。ただし、私も会社の一経営者として、年間100人以上の人との面接を行ってきています。その中でルール化したことを簡単ではありますが、お伝えさせていただきました。(もちろん、採用には色々な意見があると思いますので、ひとつの参考例としてお読みいただければと思います。)

(文責 大澤一郎)