会社の「夏休み」と有給休暇の関係
- Vol.159
- 2022年08月号
- 目次
- 「会社の「夏休み」と有給休暇の関係」
- 「よつば総合法律事務所の近況」
- 「弁護士の謎 解き明かします!」
- 「ワインが苦手な人のためのワインの選び方~第60回」
- 「お勧め書籍のご紹介」
会社の「夏休み」と有給休暇の関係
ただ、結論としては、これまで実施していた夏季休暇をなくして、有給休暇をあててもらうようにするのは認められない可能性が高いです。(ただし、様々な見解がありますので詳細は専門家にご相談下さい。)
「休日」と「休暇」の違い
どちらもお休みですが、「休日」は労働義務が課されない日のことで、「土日休み」「水曜定休」などという場合の「休み」は、法的には「休日」のことです。
一方、「休暇」とは、本来は労働義務があるものの休んでもいい日です。有給休暇、育児休暇、介護休暇、夏季休暇や年末年始休暇、慶弔休暇、リフレッシュ休暇などがこれにあたります。なお、有給休暇以外の休暇は、必ずしも有給である必要はなく、給与を支払うかどうかは会社が決められます。休暇は、仮に無給であっても、欠勤とは異なり、昇給や賞与の査定、出勤率などの評価には影響しないので従業員にとっては嬉しい制度です。
休暇は無くてもいい?
休暇には、「法定休暇」と「法定外休暇」の2種類があります。法定休暇は、労働者から請求があれば取得させなければならないと法律で決められているもので、有給休暇や産前産後休暇、育児休暇、介護休暇がこれにあたります。一方、「法定外休暇」とは、法律で決められているわけではない、会社が独自に定めている休暇です。慶弔休暇、リフレッシュ休暇、そして夏季休暇も法定外休暇です。こうした休暇制度は、会社独自のものですので、休暇制度がなくても違法にはなりません。つまり、「夏休みがない」ことは違法ではありません。
ただ、法定外休暇である夏休みをなくすこともできるのか?というと、冒頭のとおり、認められない可能性が高いです。今まであった休暇を減らすというのは労働者にとって不利益な変更ですので、これを認めてもらうには非常に高いハードルがあります。「有給を消化してもらいたい」という理由では認められるのは難しいでしょう。(ただし、様々な見解がありえます。)
ユニークな休暇
会社独自の法定外休暇には会社の想いや個性が現れます。私が聞いたことのあるユニークな休暇をいくつかご紹介します。
- ①失恋休暇
- 失恋を理由に休暇が取れるという制度です。なかには、20代前半では1日、20代後半は2日、30代以上は3日と、年齢によって休暇を取れる日数を変えている会社もあるようです。年齢を重ねたほうが失恋の傷が深い…ということでしょうか。
- ②スモーク休暇
- 非喫煙者に有給の休暇を与える制度です。喫煙者と非喫煙者で休憩時間に差が出る不平等を解消することだけでなく、従業員の禁煙(健康増進)を促す効果も期待できます。
- ③山ごもり休暇
- 1~2週間の連続休暇を義務づけ、休暇中は電話やメールなどの会社からの連絡を一切禁止する休暇です。従業員のリフレッシュのほか、あえて他の従業員への引継ぎを発生させることで業務内容を見直す機会にすることもできるそうです。
(文責:弁護士 坂口 香澄)
弁護士の写真撮影をしました-よつば総合法律事務所の近況-【柏・東京事務所前編】
先月号に引き続きHPやニュースレター等で使用する弁護士の写真撮影のときの様子をお伝えいたします。今回は柏事務所&東京事務所の前編です。
弁護士の謎 解き明かします!
謎その1 弁護士になるには試験が2回もあるって本当?
よつば総合法律事務所の松本です!弁護士は謎多き職業であるというお声をいただきスタートした新企画です。今回は、弁護士になるにはどんな試験が必要なのか?試験が2回あるって本当なのか?という疑問にお答えしたいと思います。
1 第1関門
弁護士になるための第1関門がいわゆる「司法試験」です。司法試験は、裁判官、検察官、弁護士になるための法曹資格を得るための試験で、令和5年度の試験は、7月12日、13日、15日、16日の4日間でおこなわれます。試験内容は、憲法・民法・刑法の短答式試験(○×問題)と、憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法・選択科目(労働法・知的財産法など)の論文試験です。
具体的な流れとしては、試験時間が2時間(選択科目だけ3時間)の論文試験を2日間連続で受けて、中1日休んでまた論文試験を受け、最終日に短答式試験を受けることになります。非常に過酷な試験で個人的には二度と受けたくありませんし、今でもたまに試験の夢をみます 笑
短答式試験で基準に達してない場合は即不合格になり、基準を超えている場合は、論文試験の結果を待つことになります。令和5年度は合格発表が11月8日で、結果が出るまでに約4カ月も待つことになります。
2 第2関門
晴れて司法試験を突破すると、約1年間の司法修習という研修を受けることになります。司法修習は、司法試験合格後に法曹資格(裁判官・検察官・弁護士となる資格)を得るために必要な法曹教育制度です。修習生は1年間しっかりと民事裁判修習・刑事裁判修習・検察修習・弁護修習などの法曹実務を学んだうえで、研修の最後に「二回試験」という試験を受けることになります。この二回試験を突破しないと、法曹資格を得ることは出来ません。二回試験の存在については、ご存知ない方も多いのではないでしょうか?
二回試験は、刑事裁判、刑事弁護、民事裁判、民事弁護、検察の5科目の試験で、1科目当たりの試験時間はなんと7時間半です!この7時間半の試験を5日間受けることとなり、この試験に不合格となってしまった場合は、翌年の二回試験まで一年間待たなくてはならないこととなります。
落とすための試験ではないため合格率は高いのですが、とにかく試験時間が長いことと、落ちることが出来ないというプレッシャーがかかる試験です。
3 最後に
現在司法試験を受けるためには、法科大学院に入学してその課程を修了するか、予備試験という試験を受けてそれと同等の資格を得る必要があります。その試験も含めると、弁護士になるためには3回の試験を突破する必要があることになります。
思い返すと長い道のりだったなと思いますが、弁護士はそれだけの時間をかける価値のある仕事だと日々実感しています!ただし、もう一度司法試験を受けろと言われたら私は絶対に嫌です 笑
(文責:弁護士 松本 達也)
過去のコラムは当事務所サイトのニュースレターバックナンバーをご覧ください。
当事務所ニューレターバックナンバー
懇親会の席で隣の席に座った社長様より「お酒の記事を書けば?」というアドバイスをいただいたのは5年前。なんと、5年間コラムを続けることができました。
先日も、とある団体の役員様より、「いつも読んでます」と励ましていただきました。
今回は5周年ということで、初心に戻り、「ワインが苦手な人」向けの簡単なワインの選び方です。
POINT1 1番大事なのはブドウ品種。2番目に大事なのは産地
ワインで一番大事なのは「ブドウ品種」です。次は「産地」です。
値段より圧倒的に大事です。
POINT2 ワインが苦手であれば 白ワインで品種はソーヴィニヨンブラン
ソーヴィニヨンブランという名前は覚えにくいです。
ソーヴィニヨンは「野生」という意味らしいです。
ブランは白、「カサブランカ」(白い家)のブランです。
POINT3 ワインが苦手であれば、産地はチリ
チリのワインはヨーロッパのワインと比べて安いです。
1000円未満のワインもとてもおいしいです。
POINT4 ワインが苦手であれば、とにかく冷やす
臭いやアルコールが気になるワインはとにかく冷やすことが大事です。
冷やせば冷やすほど、ぶどうジュースに近づきます。
【チリのソーヴィニヨンブランの白ワインをとにかく冷やして飲む】
がワインが苦手な人への結論です。
値段も500円前後のものが結構あります。
ワインボトルは720ミリ、アルコール度数は12%位ですので、レモンサワーよりお得かもしれません。
(文責 弁護士 大澤一郎)
― 人生を元気で豊かにするお勧め書籍のご紹介 ― 「フェルマーの最終定理」 サイモン・シン 著
私のおすすめの一冊は、「フェルマーの最終定理」です。
1.”私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない”――ピエール・ド・フェルマー
こんなに格好いいセリフが他にあるでしょうか。この本は、人類が「フェルマーの最終定理」を発見し、約360年後にアンドリュー・ワイルズがそれを証明するまでの軌跡を描いた数学ドキュメンタリーです。
2.「数学」と聞いて読み進めるのをやめそうになった数学嫌いの方、ちょっと待ってください。この本でサイモン・シンが書いているのは最初から最後まで何を言っているかわからない数学の証明ではなく、数学者たちの人間ドラマなんです。数学に魅せられた古今東西の偉人変人、天才奇才たちがどのような人間だったのか、彼らがどのように知性のバトンを繋いできたのか。ときには紀元前にまで遡ってダイナミックに描かれています。そしてフェルマーが実は裁判所の職員で数学はただの趣味だったこととか、ピタゴラス教団のメンバーは発見を外部に漏らさないことを誓わされ、これを破ると処刑されていた(!)とか、ちょっと驚きの逸話がふんだんにちりばめられています。
中でも私が一番心を震わせたのはガロアの物語です。天賦の才に恵まれたガロアですが、歴史に翻弄され、政敵の策略で父を失い、ある時は自身も投獄されます。そして死が間近に迫ったとき、彼は自分の研究成果を後世に残すため、数学の証明を友人への手紙に走り書きします。その間隙には「時間がない!」という絶望のような叫びも書き込まれ、それを書いた翌日に彼は決闘で命を落とすのです。そして彼が最期に残したこの証明は、数世紀の時を経てワイルズをフェルマーの最終定理の証明へと導きます。
3.記事を書くにあたって読み直したのですが、やっぱり面白い本です。人類の歴史の先端に立つ者の1人として、学び続けることを大事にしたいと思わされます。
ただ、
“私はこの本についてもっと語るべき内容をもっているが、紙面が狭すぎるのでここに記すことはできない”――
というわけで夏休みの1冊にいかがですか?
(文責 弁護士 辻 佐和子)