公益通報者保護法の改正！気になる内容は？

・解雇の無効（公益通報者保護法３条）

公益通報をしたことを理由として事業者が行った解雇は無効とする。

・労働者派遣契約の解除の無効（公益通報者保護法４条）

公益通報をしたことを理由として事業者が行った労働者派遣契約の解除は、無効とする。

・不利益取扱いの禁止（公益通報者保護法５条）

事業者は、公益通報をしたことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
たとえば、会社で働いている従業員が、会社内部で重要な法令違反を発見して、それを通報するような場合に、通報者名が会社に伝わり、不利益処分をされる可能性があります。そのようなリスクを伴うのであれば、従業員は通報することを委縮してしまい、制度が実質的に機能しない可能性があります。公益通報者保護法は、そのようなことが起こらないように、公益通報者の保護を図っています。

今月の「人生を元気で豊かにする本」は、私坂口から、梨木果歩さんの『西の魔女が死んだ』をご紹介します。
私がこの本と出合ったのは、主人公「まい」と同じく中学生のときでした。国語の試験問題の題材にされることの多い小説のようで、当時中学生の私は、いろいろな試験で何度もこのタイトルを見かけていたのがきっかけで目に留まるようになりました。「魔女」が「死んだ」なんてインパクトのあるタイトルと、問題文で読む文章の温かさのギャップが気になり、本を手に取りました。

この物語は、中学校に進んで間もなく、どうしても学校に足が向かなくなってしまった主人公「まい」が、初夏のひと月あまりを、暮らしていた街を離れて田舎の西の魔女のもとで生活するお話です。西の魔女は、穏やかで優しい雰囲気でありながら、凛と気高く自身に満ち溢れ、底知れない不思議な魅力を持っています。西の魔女ことママのママ、つまりおばあちゃんのことが大好きになった主人公は、おばあちゃんから魔女の手ほどきを受けることにします。

魔女の手ほどきの肝心かなめは、「なんでも自分で決める」それを「実行する」ということです。なんでも自分で決める、とは、何時に起きるのか、何を食べるのか、という行動だけでなく、どういう心の状態でいるのか、ということも含みます。なにかのトラブルに見舞われたときに、心をざわつかせるのか、平穏を保つのか、それを決めるのも自分だ、というのです。

私がこの小説を初めて読んだときの感想は、魔女の魅力に惹かれる一方、地に足のついた「魔女修業」の平凡さにがっかりした、というのが正直なところです。ただ、その平凡な魔女修業を実践することの難しさがどうも心にひっかかり、今でもときどき魔女の教えを思い返します。なんだか教訓めいたことを言ってしまいましたが、この物語の一番の魅力は、主人公の素直な迷いや悩み、それを包むおばあちゃんの温かな愛情に、優しくすがすがしい気持ちになれるところです。物語に出てくるおばあちゃんの家、裏庭の草木の自然の描写は丁寧で、きらきらしていて、主人公にとって、この場所がとても大切な空間、居場所であることを反映しているようです。

主人公が、おばあちゃんの家を離れる数日前、パパの車で街に出かける途中、「この窓から広がる光景がとても貴いものだと知っていた。」という描写があります。大人になってもこのように懐かしく大切に思いかえす景色が皆様にもあるといいなと思います。物語自体は子供向けですので、さらっと読むことができます。ぜひ手に取っていただければと思います。

（文責：弁護士 坂口香澄））