裁判って何をするの?(民事裁判)

Vol.103
2017年12月号

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目次
「裁判って何をするの?(民事裁判)」「遺産分割って,どんな手続なの?」
「2017年セミナー報告」「2017年よつば総合法律事務所の出来事」
「ワインが苦手な人のためのワインの選び方」

~ 裁判って何をするの?(民事裁判)~

1.訴えの提起

裁判をするためには、まず、訴えを提起する必要があり、その前提として、訴状の作成、証拠の収集等を行う必要があります。
なお、どこの裁判所に訴えを提起するかという点については、法律上でルールが定められています(「管轄」と呼ばれます)。ここでは細かい説明は省略しますが、基本的には、当事者の合意があればその場所が、合意がない場合には、例えば、不動産に関する訴えは不動産の所在地、財産権上の訴えは義務履行地(債権回収の場合、基本的には債権者の所在地です。)といったように、法律上のルールに則り、管轄が決まります。

2.口頭弁論期日

原告が訴えを提起すると、裁判所の方で訴状の審査、初回期日の指定を行ったうえで、訴状や添付した証拠を、被告(相手方)に郵送します(「送達」といいます)。
送達を受けた被告は、訴状に対応する書面として「答弁書」を裁判所に提出することとなります。
原告の主張を被告が争う場合には、1回の期日だけでは終わらず、続行期日が指定され、その期日までに、訴状・答弁書の主張を補充するために、「準備書面」を作成・提出することになります。事案にもよりますが、期日と期日の間隔は、大体1か月程度とされ、双方の主張・反論が終わるまで、期日は続くことになります。もっとも、裁判の途中で和解をすることは自由であるので、裁判中に和解が成立し、判決まで至らないことも数多くあります。
なお、弁護士をつけている場合には、基本的には弁護士のみが期日に出廷するので、この段階では、原告・被告本人が裁判所に行く必要は、原則としてありません(書面の準備等で弁護士と打ち合わせる必要はあります)。

3.証人尋問

ある程度双方の主張が煮詰まった段階で、当事者や関係者の話を、裁判所で直接聞く手続として、証人尋問の手続が行われますことが通常です。尋問の対象となった証人は、この手続に出廷する必要があり、相手方や裁判所から色々と話を聞かれることとなります。

4.判決等

上記のような手続を経て、当事者双方の主張が出そろい、裁判所の心象が固まると、裁判所から判決が言い渡されます。不服がある当事者は、「控訴」といって、上級裁判所に再審理を求めることができます。双方からの控訴がなければ、判決の内容が確定することになります。
以上、民事裁判の一般的な流れについて、ざっくりと説明させていただきました(文字が多くてすいません…)。

(文責:村岡つばさ)


~ 遺産分割って、どんな手続なの? ~

~ 遺産分割って、どんな手続なの? ~人が亡くなった時には相続が発生します。亡くなった方が遺言を作成していない場合には、原則として残された相続人たち全員で「遺産分割協議」をして、遺産をどの様に分けるかを決めなければいけません。今回は、この遺産分割が、どのような手順で行われていくものなのか、簡単に説明させていただきたいと思います。

1 遺産分割とは?

遺産分割とは、亡くなった方が死亡時に有していた財産(遺産)について、個々の相続財産の権利者を確定させる手続のことをいいます。遺言が残されていれば、原則としては遺言通りに相続財産の権利者が決まるのですが、遺言がない場合には、残された相続人たちで、遺産の権利者を決めなければいけません。それが遺産分割です。まずは、話し合いで遺産分割を試みますが、話し合いで収まりがつかない際には、裁判所での調停・審判を行います。

2 遺産分割では、どのような手順で協議が進められるか

遺産分割手続では、一般的に次のような手順で協議が進められます。

① 相続人の範囲を確定する。

誰が相続人になるかは法律上決められています。

② 遺産の範囲を確定する。

原則として、亡くなった時点で亡くなった方が所有していて、現在も存在するものが遺産分割の対象となる遺産になります。この範囲を確定します。

③ 遺産の評価をする。

遺産のうち、不動産等の評価額を確定します。

④ 各相続人の取得額を計算する。

法律で各相続人の取得分は定められています。例外として、生前に亡くなった方から特別な贈与等を受けていたこと(特別受益)や、亡くなった方に特別な貢献等をしていたこと(寄与分)を考慮して、各相続人の取得分を修正します。

⑤ 遺産の分割方法を決める。

遺産の分割方法には、その物自体を分けること(現物分割)、物を分けるが、分け方に差があり、差額を金額で調整すること(代償分割)、売却して金銭を分けること(換価分割)などの方法があります。

⑥ 遺産分割の成立

今回の説明は簡単なものになっており、例外的な場合が生じることも多々あります。相続はとても難しいことが多い分野ですので、お悩みになる前にお気軽にご相談ください。

(文責:大友竜亮)


2017年 セミナー報告

今年もたくさんのセミナーを開催しましたので一部をご報告させていただきます。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
来年も定期的にセミナーを行いますので、ご興味・ご都合合いましたらぜひよろしくお願いいたします。

冬(1月~3月)

『借地関係を解消して不動産を有効活用する9つの方法』
2月6日 講師:大澤一郎
借地関係の解消をめぐる問題点や解決方法についてお話させていただきました。『保険代理店専門社労士が教える助成金のお話』
2月17日 講師:三井伸容
労災関連の保険に関わる労災トラブルのお話をさせていただきました

春(4月~6月)

『借家関係を解消して不動産を有効活用する方法』
4月7日 講師:大澤一郎
借家関係の解消をめぐる問題点や解決方法についてお話させていただきました。『不動産会社様が知っておきたい家賃滞納と立退き問題への法的対応策』
6月16日 講師:川﨑翔
家賃滞納における対応方法・訴訟~強制執行の手続きについお話させていただきました。

『弁護士による正しい初動対応』
6月22日 講師:今村公治
交通事故被害者・加害者の初動対応、相続問題の初動対応についてお話させていただきました。

『マネジメントの甘さが招く!?~入社から退職までの本当にこわい労務トラブル~』
6月23日 講師:川﨑翔、三井伸容
入社から退職までの流れで企業様として気を付けて頂きたいポイントをお話させていただきました。

夏(7月~9月)

『その説明で本当に大丈夫!?弁護士が教える過失割合の実務』
7月6日 講師:前田徹
過失割合の実務についてお話しをさせていただきました。『知らないと損する不動産売買・賃貸における重要事項説明の実務』
8月7日 講師:佐藤寿康、加藤貴紀
不動産における告知義務についてお話させいてだきました。

秋(10月~12月)

『人身損害について(後遺障害を除く)』
10月12日 講師:川﨑翔、大友竜亮
事故にあった時の損害賠償額、治療費についてなどをお話させていただきました。『法律・制度を使った経営・業績アップ手法~明日から使えるヒトとお金に関わる具体例30』
10月17日 講師:大澤一郎
企業様に関わる様々な項目について経営・業績アップの手法をお話させていただきました。

『1時間でわかる不動産会社様のための民法改正セミナー~不動産実務に与える影響・変更点~』
10月23日 講師:大澤一郎
民法改正の概要から不動産売買・賃貸に与える影響についてお話させていただきました。

『知らないと損する!お客様対応で必須の相続の基礎知識』
12月4日 講師:小林義和、加藤貴紀
不動産に関わる相続の基礎知識・生前対策などについてお話させていただきました。

来年のセミナーのスケジュールは今後もこのニュースレターでお知らせさせていただきます。
よつばのHPにも記載がありますので、ぜひご覧ください。
http://www.yotsubasougou.jp/160/

2017年 よつば総合法律事務所の出来事

▼事務所改革しました

様々な専門会社様の協力のもと、事務所改革をしました。
経費削減部門では、携帯・備品の発注元を見直し・実施、給与
部門では、給与制度の見直し・実施を行いました。

▼所内行事たくさん!

春にはバーベキュー、夏にはビアガーデン、その他有志による所内行事が行われました。
事務所が2拠点となり普段離れている所員の交流の場にもなっております。

代表弁護士大澤一郎の「ワインが苦手な人のためのワインの選び方」

~第4回 「箱ワイン」も実は意外とおいしい!

~新コラムの第4回です。
過去のコラムは当事務所サイトのニュースレターバックナンバーをご覧ください。
当事務所ニューレターバックナンバー (http://www.yotsubasougou.jp/240/vol100/)今回は、箱ワインの紹介です。「サンタ・レジーナ カベルネソーヴィニヨン、
バッグインボックス」(1500円前後)です。赤ワインです。1500円前後と高い
ですが、3リットル入っています。普通のワインは720ミリリットルなので4本分
以上入っています。

箱ワインは、保存が便利です。通常の720ミリリットルのビンに入っているワインは当日中に飲まないと味が変わってしまうこともありますが、箱ワインは大丈夫です。味もおいしいです。今回ご紹介した箱ワインはブドウ品種「カベルネソーヴィニヨン」を使っていますので、比較的しっかりした味わいになっています。

赤ワインは「カベルネソーヴィニヨン」主体の赤ワインと「ピノ・ノワール」主体のワインでは全く味が異なってきます。一度2つの品種を飲み比べると、その差は顕著だと思います。趣味によってどちらが好きという方もいますので、自分の好きなタイプの赤ワインを探すというのもまた楽しいと思います。

ちなみに、あまりアルコールが強くない方は、赤ワインをオレンジジュースで割ったり、コーラで割ったりすると飲みやすくなります。

編集後記

2017年も皆様に支えられて無事1年を過ごすことができました。皆様本当にありがとうございます。最近、千葉事務所、柏事務所共に「遺言書を作成したい」というお問い合わせが増えてきています。私大澤も40歳になりましたので、遺言書作成の必要性を強く感じています。元気なうちに将来のことを考えるというのは本当に大事なことだと思います。皆様2017年1年間ありがとうございました。そして、2018年もよろしくお願いいたします。

(大澤一郎)