週刊ダイヤモンド「経営よろず相談所」

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著者
大澤一郎
出版社
ダイヤモンド社
JANコード
ASIN: B076CDVQY9
発売日
20030426

早期退職優遇制度の条件に関する記事を執筆しました。

記事の概要

従業員の早期退職優遇制度を行う場合、従業員の同意を得ることが必要となります。
そのため、早期退職優遇制度を構築・運用する場合、本来の退職金に上乗せをした退職金を支払うなど、従業員への優遇措置を設けることが通常です。
その他、①適用対象となる従業員の特定、②申込期限などを適切に設定する必要があります、
このような早期退職優遇制度の構築・運用について解説しました。

執筆者コメント

早期退職優遇制度の目的には次のような目的があることが多いです。

  • 早期に会社を辞めて次の人生を歩みたいと考えている社員への支援
  • 業績悪化に伴う人件費削減のための人員整理の方法

いずれの目的でも、会社と従業員がお互いに納得した上で円満な解決に至るような制度設計及び運用が望ましいです。

関連情報

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早期退職金

本記事に関連するよくあるご質問

Q早期退職制度を設ける場合、退職金の割増は必要不可欠でしょうか?
A必要不可欠ではありません。もっとも、従業員の同意を得ての退職となることから、従業員に何らかのメリットのある制度であることが通常は必要でしょう。
Q早期退職制度の優遇にはどのようなものがありますか?
A

  • ①退職金の割増、②一定期間給与を支払った上での勤務の免除、③有給休暇の買い上げ、④再就職支援サービスの提供などの優遇措置があります。
  • なお、再就職支援サービスには、①従業員の適正把握のサポート、②目標設定のサポート、③応募先の決定のサポート、④履歴書添削や面接対策のサポートなどがあります。
Q早期退職制度の会社のメリットはどのようなものでしょうか?
A①会社の人員構成の若返り・活性化、②人件費削減などのメリットがあります。
Q早期退職制度の会社のデメリットはどのようなものでしょうか?
A①割増退職金などの経費の増加、②辞めて欲しくない従業員の退職の可能性、③従業員のモチベーションの低下などのデメリットがあります
Q早期退職制度の従業員のメリットはどのようなものでしょうか?
A①次の仕事や生活など自分の人生設計の構築、②割増退職金の受領などのメリットがあります
Q早期退職制度の従業員のデメリットはどのようなものでしょうか?
A①今のような収入がある仕事を見つけられない可能性、②希望する仕事を見つけられない可能性などがあります。
Q会社の立場では、早期退職制度導入の注意点にはどのようなものがありますか?
A①辞めてほしくない社員の退職を防ぐため会社の同意を条件とすること、②認識の相違が生じないように従業員への説明を丁寧に行うこと等があります。
Q従業員の立場では、早期退職制度に応じる際の注意点にはどのようなものがありますか?
A①今後の仕事や生活費の確保、②会社が提示した条件と自分の認識に齟齬がないかの確認等があります。
Q人員削減のためには整理解雇をすればよいのではないでしょうか?
A

  • 整理解雇は一定の条件を満たすことが必要です。具体的には、①人員整理の必要性、②解雇回避努力義務の履行、③被解雇者選定の合理性、④手続の妥当性の4要素を考慮して整理解雇の有効性が判断されます。
  • そして、一般的には整理解雇が有効となるハードルは会社にとって高いです。そのため、早期退職優遇制度等の導入による人員削減が行われることが多いです。
  • なお、早期退職優遇制度を導入したことが、整理解雇を有効する一事情となることもあります。

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