「ひき逃げにあった…」交通事故における3つの法律の話
- Vol.194
- 2025年07月号
- 目次
- 「法律コラム『「ひき逃げにあった…」交通事故における3つの法律の話』」
- 「よつば総合法律事務所6拠点のご紹介」
- 「よつば総合法律事務所WEBサイトのご紹介」
- 「お勧め書籍の紹介」
- 「ワインが苦手な人のためのワインの選び方」
- 「中堅・中小企業における10の法的チェックリスト」
「ひき逃げにあった…」交通事故における3つの法律の話
ここでは、被害者として知っておきたい「刑事・民事・行政」の3つの視点から、ご紹介します。

「ひき逃げ」って?
一般の人が「ひき逃げ」と聞いたときにイメージするのは、事故にあったのに、加害者がそのまま何の説明もせず、立ち去ってしまったという状況です。法律の場面では「ひき逃げ」と一口に言っても、どういう責任が問えるのかによって扱いが異なります。
刑事事件としての「ひき逃げ」
刑事事件とは、国(警察や検察)が加害者の行為を取り締まり、法律違反に対して罰を与えるかどうかを判断する手続きです。
ひき逃げの場合、道路交通法上の「救護義務違反」や「報告義務違反」などが問われ、罰則が科されることもあります。
ただし、実際は、「加害者が故意に逃げたのか」「事故と加害者の関係が明確か」などの証拠が必要です。
そのため、警察が被害届を受理しても、刑事事件として立件・処罰が難しいと判断されることもあります。
点数・免停などは「行政処分」
次に、運転免許の点数や免停・免許取り消しなどの「行政処分」があります。
これは、事故後の加害者の行動や警察の判断に応じて、公安委員会などが処分を決める仕組みです。被害者の方が直接関与することはほとんどありません。
被害者が損害賠償を求めるのは「民事事件」
けがの治療費や壊れた物の修理費、精神的苦痛に対する慰謝料などを、被害者が加害者に請求するのは「民事事件」です。
これは、警察ではなく、被害者自身が加害者に対してお金の支払いを求める個人間での手続きになります。
弁護士に相談する場面の多くは、この民事事件への対応です。
たとえ警察が「刑事事件としては難しい」と判断したとしても、加害者の逃走や不誠実な対応といった事実は、民事裁判において被害者に有利な事情として扱われることがあるため、損害賠償請求に影響する場合があります。
できることはある
「刑事事件としては処罰が難しい」と言われても、落ち込む必要はありません。
民事の手続きでは、事故後の対応や被害の内容をもとに、加害者に対する損害賠償請求が可能なケースが多くあります。
「誠実な対応がなかった」「話し合いに応じない」「逃げた」などの加害者の態度も、民事では重要な要素です。
一人で悩まず、必要に応じて弁護士などの専門家に相談しながら、納得のいく形で自分の権利を守っていくことが大切です。
よつば総合法律事務所では、交通事故にあわれた多くの方からの相談に対応しております。まずは、ご相談ください。
(文責 弁護士 小川 夏菜)
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― 人生を元気で豊かにするお勧め書籍のご紹介 ― 『勉強の価値』森 博嗣 著
著者の森博嗣先生は、大学教授として工学の研究をしながら、『すべてがFになる』などの小説や随筆を執筆し、現在はお仕事をリタイアしてどこかの山奥で鉄道模型などを作成して過ごされている方です。
本書は、森先生の幼少期から学生時代にかけての勉強についての経験や、大学時代に勉強の楽しさに気がつき研究に没頭した日々を振り返り、勉強の価値についての考えを執筆されたエッセイです。
現在目標に向かって勉強中の方、毎日の宿題や課題で疲れている学生さん、お子様の教育方針に悩む親御さん、今ではほとんど勉強しなくなってしまった社会人の方、様々なライフステージにある方にお勧めできる書籍です。
そもそも勉強は楽しくない
書の序盤には「勉強が楽しくない、ということは事実である、といっても良いだろう(反対する方が多いかもしれないが、そういう人は、週末も勉強を楽しまれるとよろしい)。」という文章があります。たった1行ですが、なかなかインパクトのある文章ですよね。
勉強は楽しくないのです。だから、楽しいものとして子どもにやらせるのはやめようということです。
「勝つために勉強するのではない」
こちらは第3章の題名ですが、なかなかインパクトがあります。
学生時代は定期試験で点数・順位が付けられ、志望校を決めて受験勉強をすることが多いですから、勉強には勝ち負けが付き物と考えることは一般的ではないでしょうか。
森先生は、それもあくまで一つの価値観でしかないという考え方を採っております。勉強の目的は競争に勝つことだけではないということです。
勉強の価値とは
それでは、何のために勉強するのでしょうか。本書では随所で勉強の価値についての考えが述べられています。
それらを私なりにまとめると以下のようになります。
「みんなが自由に生きていけばいい。自由に生きていくなかで知りたい・知らなきゃと思ったことを知ることが本来の勉強である。」
私が本書を読んだのは大学院生で司法試験に向けて勉強中の時でした。本書を読み、受験勉強への取り組み方が一変しました。
本書は勉強について新たな考え方をもたらし、勉強のハードルを下げてくれる一冊だと思います。
それぞれのトピックがコンパクトにまとめられておりますので、目次を見て気になったところから読むだけで十分に楽しめる内容となっております。文庫本でサイズも小さいので、夏季休暇の移動中などにパラパラとめくってみてください。
(文責 弁護士 杉山 賢伸)
過去のコラムは当事務所サイトのニュースレターバックナンバーをご覧ください。
当事務所ニューレターバックナンバー
夏です!夏は爽やかな飲み物がいいですよね、今回は、夏にぴったりのお酒をご紹介します。
ビール
やはり夏の定番といえばビールです!冷えたビールは爽快です。夏はハイネケンをおすすめします。

スパークリングワイン
シュワシュワとした泡が心地よいスパークリングワインは、夏の普段飲みにおすすめです。キリッと冷やして飲むと、格別な美味しさです。特に、柑橘系のフルーツと合わせると爽やかさが増します。
サングリア
赤ワインにフルーツなどを入れたカクテルです。家でも作れます。
ウォッカ・トニック
ウォッカをトニックウォーターで割り、ライムを添えたカクテルです。
ジントニックもおすすめですが、より柑橘系の香りが際立つウォッカ・トニックがおすすめです。
キューバ・リバー
ラムをコーラで割り、ライムを添えたカクテルです。名前からして夏っぽいです。
カンパリ・ソーダ
カンパリにソーダを入れたカクテルです。オレンジジュースを入れたカンパリ・オレンジもおすすめです。
暑い夏を元気に楽しく過ごしていきましょう。
(文責 弁護士 大澤 一郎)
中堅・中小企業における10の法的チェックリスト
よつば総合法律事務所では、多数の企業様と顧問契約を締結しています。過去の各弁護士の多くの経験から、中堅・中小企業では以下の問題が経営を揺るがす法的問題として発生しやすいです。気になる方は弁護士や各種専門家に早めにお問い合わせください。
契約書の作成・チェックに関する法律問題
労働問題
売掛金回収
知的財産権
許認可
「中堅・中小企業における10の法的チェックリスト」について、その理由と背景にある潜在的な危険性を解説します。
ネットで見つけたひな形、あるいは古くから使用しているひな形が、実は自社に著しく不利な内容になっているケースがあります。紛争が起きて初めて気づいても、契約である以上、原則としてその内容に拘束され、大きな経済的損失や事業上の制約につながる可能性があります。
取引先から提示された契約書を十分に確認せず、信頼関係や取引の迅速性を優先して安易に署名・押印してしまうことは大変危険です。相手方に有利な条項や、予期せぬ義務、不利な紛争解決条項などが盛り込まれている可能性があります。
法改正に対応していない古い契約書を使い続けると、いざという時に契約条項が無効と判断されたり、不利な解釈をされたりするリスクがあります。例えば、賃貸借契約で、個人の方を連帯保証人と設定している場合、連帯保証人が負担する上限額(極度額)を設定しないと、保証契約自体が無効とされてしまいます。
これらの書類が未整備であったり、内容が不十分であったりすると、労働条件や服務規律などを巡って従業員との間で認識の齟齬が生じやすく、不要な紛争を引き起こす原因となります。
従業員の解雇は、法律で厳しく制限されています。解雇の理由や手続きに不備があれば、不当解雇として従業員から訴訟を起こされ、多額の金銭支払いを命じられることがあります。
未払い残業代の問題は、労働紛争の中でも特に発生頻度が高いものの一つです。労働基準監督署からの是正勧告や、従業員からの高額な未払い残業代請求につながるリスクがあります。
売掛金を回収するためには、早期に、かつ適切に対応することが必要不可欠です。未収の状態を放置してしまうと、回収可能性が低下します。
売掛金にも消滅時効が存在します。長期間回収の努力を怠っていると、法的に請求する権利そのものが失われてしまう可能性があります。
会社名や主力商品・サービスの名称は、長年の努力で築き上げた信用とブランドイメージの結晶であり、重要な経営資源です。商標権で保護していなければ、他社に無断で使用されたり、模倣されたりするリスクがあります。
関連する法律等に違反した場合、その程度によっては許認可の取消といった重大な行政処分を受ける可能性があります。
おわりに
ここに挙げたチェックリストの項目は、企業経営において直面しうる法的リスクのほんの一部かもしれません。しかし、これら一つ一つが、場合によっては経営の根幹を揺るがしかねない重要なポイントです。
自社において、これらのリスク要因がないか、今一度ご確認いただくことをおすすめします。そして、少しでも懸念される事項や判断に迷う点がございましたら、深刻な事態に至る前に、ぜひ弁護士や各種専門家にご相談ください。早期の的確な対応こそが、皆様を法的トラブルから守り、持続的な成長を支える鍵となります。