法務と財務。知らないと怖い相続の落とし穴

開催日時:
2023年05月18日 18:00 〜 20:00
セミナー分類:
企業法務
主催:
株式会社シンラウンド
講師:
前田 徹 前田 徹のプロフィール
財務戦略コンサルタント・栁田尚吾様
開催会場:
オンライン(Zoom)
対象者:
会社経営者様
受講料:

3,000円

法務と財務。知らないと怖い相続の落とし穴

セミナー報告

株式会社シンラウンド主催の「法務と財務。知らないと怖い相続の落とし穴」セミナー講師を担当しました。

財務戦略コンサルタントの栁田尚吾様と一緒に、具体的な事例を紹介しながら、相続の基礎知識や会社経営者が知っておくべき相続対策を解説しました。
講師2名での対談も行い、円満な相続の実現のため専門家として心がけていることなども解説しました。

オンライン形式でしたが、途中で参加者から意見をうかがうなど、双方向で進めることができました。

概要

【第1部】「事例から学ぶ円満相続」(担当:弁護士前田徹)

  1. データからみる相続事件の傾向
  2. 事例1:子どものいない夫婦の相続事例
  3. 事例2:疎遠だった兄弟から遺留分侵害額請求を受けた事例
  4. 事例3:叔父の負債の相続が問題になった事例
  5. 事例4:自社株の取扱いが問題となった事例
  6. 法律で定める「相続人」と法定相続分の概要
  7. 遺言の種類と公正証書遺言作成の実務
  8. 遺留分侵害額請求制度の概要
  9. 相続放棄制度の概要
  10. 自社株が問題となる相続の注意点

【第2部】「自社株と相続対策」(担当:財務戦略コンサルタント栁田尚吾様)

【第3部】対談(弁護士前田徹、財務戦略コンサルタント栁田尚吾様)

  • 「円満な相続」の実現に向けて専門家として心がけていること

本セミナーに関連する質問と回答

Q 子どものいない夫婦の相続で、気を付けておくべき点は何ですか?
子どものいない夫婦で夫婦のどちらかが亡くなると、配偶者だけが相続人とはなりません。配偶者以外の相続人は次のようになります。

  • 親などが存命であれば親
  • 親などが既に亡くなっていれば兄弟姉妹

「もし自分が先に死んだら、すべての財産を残された配偶者に相続させたい」と考えているときは、遺言書を作成する必要があります。

Q 「相続放棄」と「相続分の放棄」の違いは何ですか?
相続放棄とは、相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がないことを家庭裁判所に申請することです。相続放棄をした人は、放棄した相続に関して当初より相続人ではなかった扱いになります。

相続分の放棄とは、遺産分割協議書の作成など行いつつも、財産は放棄して他の相続人に取得させることです。裁判所へ申請する必要はありません。

相続放棄と相続分の放棄は、被相続人の債権者との関係で大きな違いがあります。

相続放棄では、債権者は相続放棄をした人に請求できません。
相続分の放棄では、債権者は相続分の放棄をした人に請求できます。

対債権者との関係で相続放棄と相続分の放棄には大きな違いがあります。
相続放棄と相続分の放棄を誤解していることがありますので注意が必要です。

Q 相続放棄で特に注意すべきことは何ですか?
重要な注意すべき点は2つです。

1点目は期限です。相続放棄は自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に原則しなければなりません。
申述期間といいます。相続放棄を検討しているときは期限に気を付けましょう。

2点目は財産の処分です。相続放棄前に相続人の財産の一部でも処分したときは、相続したことを承認したとみなされます。
結果として相続放棄ができません。法定単純承認といいます。
そのため、相続放棄を検討しているときは、相続人の財産の一部でも処分しないよう気を付けましょう。

Q 公正証書遺言を作成した後は、自筆証書遺言は作成できなくなるのですか?
遺言書は後に作成したものが有効となります。
遺言としての効力は、公正証書遺言と自筆証書遺言で変わりません。

そのため、公正証書遺言を作成した後に自筆証書遺言を作成することは可能です。後に作成した自筆証書遺言の内容が効力を持ちます。

Q 公正証書遺言を作成したいのですが、健康上の問題から公証役場まで行けません。公正証書遺言を作成できますか?
病気や高齢で公証役場まで行けないときは、公証人に自宅や病院などに出張してもらい公正証書遺言を作成できることがあります。
Q 遺留分を侵害した遺言書は作成できますか?
作成できます。ただし、遺留分を侵害した遺言書を作成すると、死後にトラブルが発生する確率が上がります。遺留分を侵害した遺言書を作成したいときは専門家とも相談しつつ慎重に作成しましょう。
Q 自社株が問題となる相続の問題点は何ですか?
次のような問題点があります。

  • 自社株の評価が高いと相続税額が高額となり、納税資金が準備できないことがある。
  • 後継者など特定の相続人に自社株全てを承継させると、相続人間の不公平が生じることがある。

参考リンク