煽り運転と対策

最終更新日: 2018年03月08日

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執筆: 弁護士 松本達也

先日、高速で「あおり運転」をおこなった大学生が暴行容疑で逮捕されたというニュースがありました。また、昨年には、神奈川県の東名高速道路で、あおり運転による死亡事故が発生したこともありました。自動車を運転している人ならあおられて怖い思いをした経験がある人もいると思います。そこで、今日は、あおり運転とその対策について私なりに考えてみたいと思います。

1 あおり運転とは?

あおり運転とは、他の車に対する嫌がらせをしながら運転することを言います。具体的には、後方の車両が前方の車両に対して、ぶつかるギリギリのところまで車間距離を詰めるクラクションを後方から鳴らし前方の車両を威嚇する前方車両を猛スピードで追い回す事などが挙げられます。

2 法律上どのように判断されるのか

道路交通法26条は車間距離について、

「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。」

と規定しています。
そのため、ぶつかるギリギリのところまで車間距離を詰めることは、道路交通法26条に違反します。

また、最近では、刑法208条

「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」

「暴行」にあおり運転行為が該当するとして、暴行で逮捕されるケースや、あおり運転行為を危険運転行為として、危険運転致死傷罪が適用されるケースもあります。

加えて、警察庁は、死亡事故に発展する恐れがあるあおり運転が社会問題化しているとして、車を使って暴行事件を起こすなど、将来事故を発生させる可能性があると判断された者について、1発で免許停止の処分ができるよう道交法の規定を適用して事故を防止するように全国の警察に指示をしたそうです。

このように、あおり運転は、道路交通法に違反するのみならず、刑法や自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律にも抵触する行為であり、犯罪です。

4 あおり運転対策

では、このあおり運転に対してドライバーとしてどのような対策ができるでしょうか。私なりに調べてみました。

まずはドライブレコーダーを設置することが有効のようです。実際、ドライブレコーダーによって、あおり運転をおこなった人が逮捕された例があります。しかし、ドライブレコーダーを設置することは、それ自体があおり運転をされることを防ぐ手段にはなりません。そこで、ドライブレコーダーを設置した車には、ドライブレコーダー録画中と記載されたステッカーを車に貼ることが有効だと思います。ステッカーを貼ることで、あおり運転をしようとする運転者への警告にもなります。

また、今までに書いてきたようにあおり運転は犯罪であるため、怖いと感じたら警察にすぐに通報するべきだと思います。また、あおり運転をされた場合は、道を譲ってしまうのも対策のひとつだと思います。

次回のブログでは、ドライブレコーダーについて、さらに詳しく書きたいと思います。

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。

執筆: 弁護士 松本達也